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友達をバカにするなんて赦せない(4)

「ふふ。そんな事は気にしないわ。一緒に食べましょう? マリーちゃん……だったわね?」


 伯爵令嬢は本当に良い子だね。

 優しいし思いやりもあるし。

 すごく素敵だよ。


「え? あ、はい?」


 いきなり話しかけられてマリーちゃんが慌て始めたね。

 普通、こんな風に貴族から平民に話しかける事は無いみたいだからね。


「わたしはアメリアよ。ふふ。実はわたしも家族にマリーと呼ばれているの」


 へぇ。

 伯爵令嬢はアメリアちゃんっていうんだね。


「え? そうなんですか?」


「魔力があるなんてすごいわ? ぜひお話を聞かせて?」


「え? あ、はい。えっと……アメリア様」


「マリーで良いわ。わたしもマリーちゃんと呼んで良いかしら?」


「え? 『ちゃん』なんていりません! マリーで大丈夫です!」


「ふふ。じゃあ、お互いにマリーちゃんと呼び合うのはどう?」


「そんな……平民のわたしが貴族をそんな風には……」

 

「アカデミーの学長の方針よ? 『皆、平等に。差別の無いアカデミー』とても素敵だと思わない?」


「あ、じゃあ……マリーさん……ではどうでしょうか?」


「ふふ。では、もっと仲良くなったらマリーちゃんと呼んでもらおうかしら?」


「……! はいっ!」


 おぉ……

 すごいね。

 もう友達になったみたいだよ。

 なるほど、こうやって自然に友達になればいいのか。

 魔族と仲良くなる時は戦って倒してから仲良くなってきたからね……

 人間相手には絶対にダメだよね。


「君もジャックなんだね。オレもジャックなんだ。あはは。ほぼ皆ジャックだから……ジャックって呼ばれると皆反応しちゃうよね」


 甘い物が大好きなジャックが、魔術科のジャックに話しかけているね。

 本当にジャックがいっぱいで区別がつかないよ。

 

「あ……はい。そうですね。えっと……はい」


「ジャックも一緒に食べようよ。全部ニホンの皆さんが用意してくれて、オレ達もご馳走になってるんだ。オレもジャックの魔術の話を聞きたいな」


「え? あ……はい……オレで良ければ……」


 クラスの皆はスウィートちゃんに虐げられていたから平民を虐げようとは思わないんだね。

 虐げられる方の気持ちを分かっているから虐げない……か。

 わたしは素敵なクラスに入れて幸せだな。


「じゃあ、皆で一緒に……」


「「「いただきます」」」


 あと二ヶ月でアカデミーを辞めるのか。

 人間と天族は生きる時の長さが違う……

 ここにいる皆は天族みたいには生きられないんだ。

 仲良くなったら最期の時に辛いだろうけど……やっぱり仲良くしたいよ。

 

 ……わたしは人間が好きなんだな。

 

 この世界の補正力……

 わたしは人間が大好きなんだよ。

 だから、もう邪魔しないで?

 人間にわたしを嫌わせないで。

 遥か昔『吉田のおじいちゃんの息子さん』を人間に襲わせたみたいに、酷い事をさせないで。

 もう、人間とは関わらなくなるから。

 もうすぐこの楽しい時間は終わるから……

 だからお願いだよ。

 もう少しだけこの幸せな時間を続けさせて。

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