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吉田のおじいちゃんと天界(6)

「うーん。ペルセポネは、やっぱり実物の方がかわいいよ? ね、ハデス?」


「当然だ。ペルセポネの美しさは簡単に表現できるものではない」


 おぉ……

 お父様とハデスが、聞いている方が恥ずかしくなるような事を言っているよ。


「ねぇねぇ、ウリエル! この人形って石膏でできてるんだよね?」


「はぁ……そうですが?」


 ウリエル……

 今ため息をついたね。

 面倒そうだよ。


「パ……パンツって履いているのかな? えへへ」


 お父様!?

 変態なの!?

 やめてよ!

 わたしは娘なんだよ!?


「神よ、わたしは全てにおいて完璧にしたいのです。ドレスのシワひとつまで完璧に再現されています」


 ウリエル……

 そこまでいくと、もう何も言う事はないよ?

 ん?

 今の話だと……

 いつの間にか、わたしのパンツを覗いていたっていう事!?


「ふーん。ひっくり返して見ちゃおっと!」


 ちょっと!?

 お父様!?


「やめて! お父様!」


 部屋の様子を覗き見する為に少しだけ開いていたドアを全開にする。


「恥ずかし過ぎるから見ないでよ! あと、気持ち悪いよ!?」


「ペ……ペルセポネ。これは違うのだ」


 え?

 ハデス?

 ハデスがどうして弁解しているの?

 何が違うのかな?

 って、ハデスの手にひっくり返して持たれた、わたしの幼女時代のフィギュアが!?

 ハデスもひっくり返してパンツを見ていたの?

 うわぁ……

 ハデスも男の子なんだね。


「ぷはっ! ハデスちゃんも男の子なんだねって!? ぷははっ!」


 吉田のおじいちゃん……

 またわたしの心を聞いたね?

 

「ちが……違うのだ。ペルセポネ……これは……その……」


 あぁ……

 真面目なハデスがこの空気に耐えられるはずがないよ?

 かわいそう過ぎる……

 顔が青ざめているよ。


「ハ……ハデスはいいの。あの……ハデスは大丈夫だからね?」


 こんな事しか言えないよ……


「え? お父様はどうしてダメなの!? ねぇねぇ?」


 もうっ!

 お父様は黙っていてよ!


「そんなのは決まっているでしょ? わたしという妻がいるからよ!」


 ヘラが怒っているね。

 当然か。


「ゼウス……あなた、まさか自分の娘の下着を見ようとするなんて……」

 

 お母様は呆れ果てているね。


「ゼウス? 今ね? 執務室でポセイドンがどうなっているか分かる? 今から同じ目に遭わせてあげるわ?」


 ヘスティア?

 まさか紐で縛って火干しするの?


「え? ヘスティアちゃん? どうしてポセイドンが執務室に? え? 嫌だ! 縛らないでぇ! うわあぁ!」


 あぁ……

 簡単に縛られちゃったね。

 これから、ポセイドンとお父様の火干しが始まるのか……


「こりゃおもしろそうだなぁ。どれ、じいちゃんが皆を執務室まで空間移動してやろうなぁ」


 吉田のおじいちゃん……

 少しでも早く火干しを見たいのかな?


「うわあぁん! なんで? どうしてハデスは赦されるのぉぉ!?」


 お父様、正論だよ。


「ぷはっ! (正論だって! ぷははっ)天ちゃんは日頃の行いって言葉を知ってるか?」


 吉田のおじいちゃんは、またわたしの心の声を聞いたんだね。


「ええええ!? うわあぁん! ずるいよぉ! ハデスばっかりずるいよぉ! ちょっと娘のパンツを覗いていただけなのにぃぃ!」


 あぁ……

 これが神様。

 そして、わたしのお父様……か。

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