プリンアラモードを大切な相手と食べよう(1)
ベリアルがジャックとリリーちゃんと一緒にご両親への挨拶に行ったけど……
ゴンザレスも付いて行ったね。
ベリアルはお菓子をもらうと簡単に騙されるからゴンザレスがいれば安心だよね。
「では……わたくしもジャックさんにプリンアラモードを届けてきます。ちょうどお昼休みに入りましたから」
先生も楽しそうに二人分のプリンアラモードを持って出て行ったね。
「いいなぁ……」
確か、会った事が無い、かなり年上の相手と婚約している令嬢だよね。
「さて……オレは勇気を出して婚約者の所に行ってくるよ。……たぶんいらないって言われるだろうけど」
前から二番目の席のジャックは婚約者からかなり嫌われているみたいだね。
「あ、じゃあ、わたしもリリーちゃんの弟さんのクラスに行くから一緒に行こうか?」
「ええ!? いいんですか!? 一人じゃ行きにくくて……助かります」
「……婚約者は、怖い子なの?」
「あぁ……いえ。普段は優しいんですけど、アカデミーではオレ達のクラスはバカにされているから話しかけないで欲しいみたいで」
「……そっか」
話を聞く限りかなり怖そうな感じだけど。
「こっそり行って、こっそり渡してきます」
聞いていて悲しくなるね。
でもわたしが言う事じゃ無いよね?
「うん……じゃあ行こうか」
「(じいちゃんはオークをニホンに連れて帰るからなぁ。すぐに戻ってくるから先に行ってくれ。アイスクリームが溶けちまうからなぁ)」
やっぱり吉田のおじいちゃんがパパを連れて来てくれたんだね。
空間移動できるのはヒヨコちゃん達って設定になっているから小声なんだね。
「(うん。お父様達のお土産用のプリンアラモードもニホンに持って行って冷やしてもらっていいかな? )」
「任せとけ。ぺるぺるは弟さんにプリンを持って行くんだよなぁ? ぺるぺるは、ちょっとした人気者さんだから(ハデスちゃんが嫉妬しねぇように)気をつけるんだぞ?」
「ん? えっと、どういう事かな?」
「生意気な貴族相手に色々やらかしただろう? 『よくやった』とか『ざまぁみろ。もっとやれ』って思ってる奴らが大勢いるんだ」
「……それって一部の人間には好かれていても、やられた側から見ればかなり嫌われているって事だよね?」
「ははは! そうだなぁ。まあ、ぺるぺるならそんな奴らには負けねぇだろ?」
「まぁ、そうだけど……」
「よし、じゃあさっさと行かねぇとアイスクリームが溶けちまうぞ?」
「一応氷の魔法石で冷やしてあるけど今日は暑いからね。行ってくるよ。パパも来てくれてありがとう。嬉しかったよ?」
「かわいいぺるみの為だからね。今日もアカデミーを楽しんでおいで?」
「えへへ。うん」
パパを抱きしめると優しく髪を撫でてくれる。
「じゃあ、ぺるぺるはいい子に頑張るんだぞ?」
吉田のおじいちゃん……
わたしはどれだけ手がかかると思われているんだろうね。