調理実習ってワクワクするよね(7)
「うわあぁ! ペリドット様のプリンアラモードはすごく綺麗です!」
ジャックが瞳をキラキラ輝かせながら褒めてくれたけど……
「あはは! ジャックのもすごくおいしそうだよ? わたしのより上手だし」
ジャックは手先が器用なんだね。
「えっと……(これをリリーさんにあげたら喜んでもらえますか? )」
「ふふ。実は……もっと喜んでもらえるようになる物があるんだよ」
「え? それは一体?」
「まず、プリンの上にアイスクリームを丸く乗せるでしょう? そしたら……ここでチョコレートの出番だよ! ボウルに刻んだチョコレートを入れてボウルの底を、魔法石で温めたお湯につけて……溶けたチョコレートを細い棒の先につけて目を描いて、トッピング用のクッキーをクチバシの形に切ってアイスクリームに刺したら……完成っ! ヒヨコちゃんアイスクリームだよ?」
「うわあぁ! 本当にヒヨコ様だ! かわいいなぁ」
「これをリリーちゃんに作ってあげればもっと喜ぶはずだよ?」
「はいっ! 早速……おぉ……チョコレート……こんなに高級な物を溶かして使うなんて贅沢です」
「高級……? そうなの?」
「はい。つい最近販売され始めたばかりで貴族の間で噂にはなっていたんですけど……オレみたいな男爵家ではとても買えなくて」
「そうだったんだね……」
そういえば……
わたしが群馬でチョコレート好きだったって聞いたハデスが、お父さんに作り方を訊いてウェアウルフのお兄ちゃんにカカオを作らせたって言っていたような……
って事はチョコレートを販売しているのはベリス王だね。
「これがチョコレートかぁ……弟達にも食べさせてあげたいなぁ。良い匂いだ……よし、できた! どうですか? ヒヨコ様に見えますか?」
「うわあぁ! すごくかわいいよ。じゃあ、ここで最後の仕上げだよ? ヒヨコちゃんの頭に生クリームを乗せて……サクランボを乗せたら……はい! 『超絶激かわヒヨコちゃんプリンアラモード』の完成だよっ! (リリーちゃんに告白するんでしょ? 頑張って! )」
「……! はい! いってきますっ!」
ふふ。
ジャックは緊張しすぎてガチガチになっているね。
クラスの皆もドキドキしながら見守っているよ。
「あの……リリーさん……えっと……」
「ん? ジャックさん? うわあぁ! すごくかわいい。もしかしてヒヨコ様のお顔?」
「あの……えっと……」
ジャックは上手く話せないみたいだね。
「あの……ペリドット様。さすがに告白場所が調理実習室なんて……何か良いお考えはありませんか?」
先生の言う通りだね。
うーん。
じゃあ……
これかな?
「うわあぁ!」
「綺麗……」
「雪……? 違う……冷たくないわ?」
神力で雪みたいな光を降らせてみたけど……
どうかな?
クラスの皆は喜んでいるみたいだね。
「あ……綺麗……ほら、ジャックさん。これは何かしら? 雪?」
リリーちゃんも気に入ってくれたみたいだけど、ジャックは緊張しすぎて見えていないみたいだね。
「あの……リリーさんは……えっと……」
「うん? ジャックさん? 何か、お話があるの?」
おお!
見ちゃダメなんだろうけどじっくり見ちゃうよ……
ドキドキするね。
ん?
ふふ。
ベリアルはプリンアラモードを食べるのに夢中だね。
ジャック達の事は全然気にならないみたいだよ。