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婚約者に「バカだから話しかけるな」って言われるって結構きついよね

「では、皆さんお待ちかねの調理実習の時間です」


 先生がご機嫌でエプロンを着け始めたね。


「先生、家族がプリンアラモードを食べたいらしくて。材料を持ってきたから家族の分も作っていいかな?」


「まあ、もちろんです」


「ありがとう。皆楽しみにしているみたいで」


 皆って言っても、お父様とケルベロスなんだけどね。


「そうでしたか。実は……あの……わたくしもジャックさんに作れたらなぁ……と」


「うわあぁ! 素敵だね。アイスクリームは溶けちゃうから作ったらすぐに持って行ってあげて? ふふ。わたしの婚約者はお菓子を作り終わった後のわたしの甘い匂いが好きだって言ってくれるの。ジャック先生にもそう言ってもらえたらいいね」


「はい! ありがとうございます。ペリドット様の婚約者様は素敵ですね。実はジャックさんはああ見えて甘党なのです」


 ジャック先生は細身だったけど甘党なんだね。

 先生はよく知っているんだね。


「今……桃がいっぱい採れるから持ってきたんだけど、良かったら皆も使ってね?」


 本当は今だけじゃなくて、ポセイドンが創った桃製造マシーン的な物が『オエッ』って言いながらいくらでも口から吐き出すんだけど……


「まあ、桃ですか? とても高価な物ですのに」


「あの……わたしも……弟がアカデミーに通っていて。わたしの分を弟に持って行ってもいいでしょうか?」


 確か、男爵家の弟がいっぱいいる令嬢だよね。


「材料はいっぱい持ってきてあるから自分の分も作ろうよ。皆もアカデミーで、あげたい相手がいたら持って行ってあげたらどうかな?」


「いいんですか? 実は……婚約者がアカデミーにいて……」


 前から二番目の席のジャックは婚約者と一緒にアカデミーに通っているんだね。


「うわあぁ! 素敵だね」


「あの……いや……オレはこのクラスだからアカデミーでは話しかけるなと言われていて。でも甘い物が好きだから……食べさせてあげたくて」


 このクラスはバカクラスって言われているからね……


「「「……」」」


 皆も黙っちゃったね。


「大丈夫だよ。来月のテストで皆で良い点数をとって驚かせちゃおうよ!」


「ペリドット様……」


「勉強って、やらされてつまらないなって思っていると苦痛でしかないけど、皆で楽しみながらするとビックリするくらい成績が上がっちゃうの。今の時点でもかなり成績が上がっているはずだよ?」


「……確かに、今日の講義は昨日のうちにペリドット様が予習してくれたからすごく分かりやすかったです」


「先生の講義はすごく分かりやすいと思うんだよね。だから、前もって講義内容の重要な部分だけを少し予習しておくだけでもかなり成績は上がるはずだよ。ほら、初めて聞く言葉って意味が分からなくて、そのまま講義が進むとさらに分からなくなっちゃうでしょ?」


「そうなんです。それでさっぱり分からなくなって……でも講義はどんどん進んでいくからもっと分からなくなって……」


「これからは、翌日の予習を少しずつしていこう? どんどん勉強が楽しくなるよ?」


「まさか、オレが講義内容を理解できる日が来るなんて思いもしませんでした」


「ジャックは元々賢いんだよ。自信を持って?」


「オレが賢い……産まれて初めて言われました」


「あはは! 来月のテスト後には毎日言われる事になるよ?」


 テストまであと一か月か。

 今までバカにしてきた他のクラスの人間達を見返して皆に自信を持って欲しいけど……

 とりあえず今はプリンアラモードを作らないとね。

 おいしく作って皆に喜んでもらいたいけど……

 貴族の皆に生クリームの泡立てとかができるかな?

 でも、ジャックは農作業を手伝っているって言っていたし。

 弟がいっぱいいる男爵令嬢も家の手伝いをしているって言っていたよね?

 貴族は皆優雅に暮らしていると思っていたけど実際は違うみたいだね。

 

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