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コットスと第三地区(1)

「では……第三地区に行くぞ? ケルベロス、あとは任せた」


 ハデスがケルベロスに話しかけているね。

 それにしても不思議だよ。

 冥界の中にいる時は冥界内を空間移動できるけど、冥界の外に出たい時は徒歩で門の外に出ないといけないんだよね。

 反対に『天界』や『人間と魔族の世界』から空間移動して冥界に来る時には、必ず冥界の門の外に着くらしいんだ。

 絶対に門を通らないといけないようになっているのかな?

 それだけ冥界が特別な場所って事?

 

「はい。お任せください」

「ペルセポネ様、約束のプリンを待ってるからな」

「楽しみにしていますから……絶対にペルセポネ様が持ってきてくださいね」


 ……やっぱり遠回しにハデスには持ってこさせるなって言っているような気がするんだけど?


「……うん。いってきます!」



 ハデスの力で第三地区に空間移動してきたけど……

 コットスはソワソワしているね。


「おお! ぺるみ、早いな」


 雪あんねぇは畑仕事があるから今朝も早起きだね。

 まだ、四時半くらいだけど……


「うん! おはよう。えへへ。お客さんを連れてきたんだよ?」


「客? ……?」


 雪あん姉がコットスを見上げているね。

 近くにいすぎてよく見えていなかったんだね。

 握っている人差し指から、コットスのドキドキが伝わってくるよ。


「……あの……オレは……コットスだ」


 五十個ある頭のひとつが雪あん姉に話しかけているね。


「ん? そうか。オレは『雪』だ。皆は雪あん姉って呼んでるぞ? よろしくな」


「え? あ……え?」


 コットスが驚いているね。

 さすがは雪あん姉だよ。

 怖がるどころか普通に挨拶しているね。


「コットスか。なかなかたくましいな。なるほど……その手があったか。天ちゃんが来たらオレも腕を増やしてもらうか。畑仕事がはかどるからな」


「……? え? 腕を増やしてもらう?」


「ん? オレ達第三地区の奴らは皆創り物の身体なんだ。だから好きな身体に創り変えてもらえるんだぞ? その腹筋もなかなかいいな」


「……好きな身体? オレの腕が気味悪くないのか?」


「腕が大量にあれば畑仕事が、はかどるだろう? なかなか、かっこいいぞ?」


「かっこいい? オレの百本ある腕が?」


「百本あるのか!? すごいな。いっぺんに百本のくわが持てるぞ!」


「……そんな……オレが怖くないのか……?」


「お? ……ぺるみの友達か?」


 おばあちゃんが起きてきたね。

 コットスを見上げてニコニコ笑っているよ。

 孫が友達を連れて来た時の『おばあさん』の顔だね。

 

「おばあちゃん。おはよう。昨日から家族になったコットスだよ?」


「そうか、そうか。家族……ふふ。コットスか。……これは……おい! 皆、起きて来い! すごいぞ!」


 おばあちゃんが大声で第三地区の皆を呼んだね?


「……オレが化け物だから見せ物に……」


 コットスが悲しそうな顔をしているよ。


「ほら、見ろ! この腹筋をっ! くぅぅ! 堪らねぇなあ!」


 おばあちゃん!?

 そんな人だったっけ!?

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