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コットスと冥界で(2)

今回はハデスが主役です。

「本当に大切なのは大好きって気持ちだよ」


 ……ペルセポネらしい考えだな。

 コットスは固まったまま動けないようだ。


「わたしはコットスに『コットス』を好きになって欲しいな」


「……? 何を……? どういう意味だ? オレがオレを好きになる?」


 コットスはペルセポネの真っ直ぐさに動揺しているようだ。


「わたしも……自分が嫌いだったの。おばあちゃんを助けられなくて……異世界で月海るみの身体を奪い取っていて。ルゥの身体を勝手に使って、人間のおばあ様とお兄様からルゥを永遠に奪ったの……だって、わたしがルゥを殺したんだから。でも……おばあちゃんもおばあ様もお兄様もわたしを好きだって……大切だって言ってくれるの」


「……ぺるみ」


「誰かに好きって言ってもらえるとね……心が喜ぶの。大嫌いだった自分を少しずつ好きになれるんだよ?」


「自分を……好きに? オレには無理だ。オレを……オレみたいな化け物を好きなんて言ってくれる奴なんて……いないさ」


「化け物なんかじゃないよ? わたしはコットスのかわいい所をこの短い時間で十個見つけたよ?」


「……? オレが……かわいい?」 


「うん! まずね、コットスはおしゃれさんだね。髪がつやつやだし服もちゃんと洗濯してあるし。あと、今は鏡が無いから自分じゃ見えないだろうけどすごくキレイな瞳だね。それから、爪に色がついているよね。ステキな色だよ。羨ましいなぁ。わたしもやってみたいよ。それと……」


「待て……少し待ってくれ……」


 コットスの全ての顔が真っ赤になっているな。

 恥ずかしいのか?


「え? あ……イヤだったかな? かわいいよりかっこいいところを話した方が良かったかな?」


「かっこいい……?」


「うん! ぐふふ。すごくかっこいい腹筋だよね。ぐふふふ。堪らないね。わたしも筋肉ムキムキになりたくて毎日鍛えているんだよ?」


「筋肉ムキムキになりたいだと? ははは! さすがぺるみはゼウスの娘だな。かなりの変わり者だ。……羨ましい……か。そんな事を言われたのは初めてだ」


「ん? そうなの? 誰もが羨む筋肉だと思うけど」


「……不思議な娘だな」


「まさか……バカって事……かな?」


「バカ? ははは! それは違うな。そうだな……言葉にするのは難しいが……赤ん坊がけがれずに育った……とでも言うか。うーん。違うか……悪いところではなく良いところを見てくれる悪意の無い清らかな存在……か?」


「あはは! 褒めすぎだよ」


「どんな環境で育てばそうなるのか……不思議で仕方ないな」


「え? じゃあ第三地区に遊びに来てみる?」


「……!? オレがか?」


「うん! 皆喜ぶと思うよ?」


「喜ぶ? まさか……あり得ない。オレは化け物なんだ」


「わたしにはそうは見えないよ。心優しい楽しいお兄ちゃんって感じがするけどな」


「……まさか……そんなはずは……」


「コットスは心が疲れているんだよ。わたしもそうだったの。でも、皆がわたしを支えて、見守って、絶望の暗闇から助け出してくれたの。もちろん今でも心が疲れちゃう事もあるけどね」

 

「心が疲れている? ……オレの『心』? 化け物のオレには心なんて無い……」


 ……コットスの心は酷く傷ついているようだな。

 わたしも傷つけた中の一人だ……

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