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タルタロスはそんなに酷い所なのかな?

「そんな……ペルセポネ様の命の危機とは!」

「だが……そうなれば、ずっと一緒に冥界で過ごせるんだぞ?」

「そんな考えはダメだ。第三地区での楽しそうなペルセポネ様のお姿を忘れたのか?」


 ケルベロスの三つの頭が真剣に話し合っているね。


「ペルセポネ……ヨシダさんの今の話を明朝、第三地区で話そう。孫を楽しみにしているおばあさんには申し訳ないが……ペルセポネにもしもの事があれば、おばあさんは辛くて耐えられないだろう」


 ハデスの言う通りだね。

『わたしは平気だと思うから』なんて自分勝手に行動したらダメだよね。


「うん。ハデスはタルタロスに行くの? わたしは行けないのかな?」


「……そうだな。タルタロスはこの冥界とは違うからな。ペルセポネには見て欲しくはない。そういう場所だ。わたしが行ってくるからペルセポネは安心して待っていればいい」


 タルタロスは怖い所なのかな?

 遥か昔はこの冥界もかなり酷い場所だったみたいだし……

 ハデスは父親がいるタルタロスに行くのがイヤじゃないのかな?


「ハデスちゃん……タルタロスには、じいちゃんが行ってくる……ハデスちゃんも囚われている父親の姿を見るのは辛いだろう? じいちゃんに任せとけ。ハデスちゃんがペルセポネにタルタロスを見せたくねぇように、じいちゃんもかわいい孫のハデスちゃんにはあの場所を見せたくねぇんだ」


「ヨシダさん……だが……」


「大丈夫だ。ずっと前に行った事があるからなぁ。迷う事はねぇし……久々に息子達にも会いてぇからなぁ」


 息子『達』……?


「辛くはないか? 自分の息子が囚われる姿を見るのは……」


「大丈夫だ。じいちゃんは……息子の育て方を間違えちまったんだ。いや、違うなぁ。じいちゃんは子育てなんてなにもしなくてなぁ……ダメな父親だ。子供達に嫌われるような事ばかりしてきて……本当にダメだなぁ」


「ヨシダさん……」


「じいちゃんは息子達に謝りてぇんだ。あの子が……ハデスちゃんの父親がハデスちゃん達を飲み込んだのは、じいちゃんのせいなんだ。じいちゃんが……親として立派な姿を見せられなかったから……だから息子が子供を飲み込むなんて酷い事を……」


「行っても辛い思いをするだけだ……タルタロスの牢は酷い場所だ。日も当たらず冷たい場所……ヨシダさんには辛いだけだ」


「ハデスちゃんは優しいなぁ……でもじいちゃんは、今からでもあの子達の父親になりてぇんだ。今まではとても父親とは言えねぇ愚か者だったからなぁ」


「……とめる事はできないようだな。わたしも共に行こう。ヨシダさんは優しすぎる。一人で抱え込んで辛くなっているのではと案じて待つのなら共に行った方がいい……ケルベロス、ペルセポネを頼んだぞ? 第三地区に行く時間までには帰るからな」


「はい……お任せください」

「冥王様……大丈夫か?」

「タルタロスの牢には行って欲しくありません……冥王様が傷つく姿は見たくないのです」


 ケルベロスもタルタロスに行った事があるのかな?

 そんなに酷い所なのかな?


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