本当に赤ちゃんは闇の力に耐えられないのかな?
「……すまねぇ。全部じいちゃんのせいだ」
吉田のおじいちゃんが辛そうな顔をしているね。
あまりに強すぎる闇の力に赤ちゃんの身体が耐えられないって事?
うさちゃんも同じ事を言っていたけど……
「それは……だが……考えたくはないが……胎児の時に……魔法石が割れたような事が起これば……ペルセポネはどうなるのだ……?」
ハデスの声が震えているよ……
「何も分からねぇんだ。今までも闇に近い力を持って産まれた子はいた。でも、両親とも闇に近い力を持つ者が子を授かった事がねぇんだ」
「前例が無いから分からない……という事か」
「ぺるぺる……ハデスちゃん……本当にすまねぇ……本当に……全部じいちゃんのせいだ……」
「……だから……ヨシダさんは今までも邪魔をしていたのか……」
……?
何を邪魔していたのかな?
「あぁ……でも、無事に産まれてくるかもしれねぇし……情けねぇなぁ。じいちゃんは初代の神なのになぁ……なにも分からねぇんだ」
「……赤ん坊を授かれば……またペルセポネを喪うのか……?」
ハデスの身体が震えているね。
でも……
「あの……さ。わたし、思うんだけど……たぶん大丈夫だよ?」
百パーセントじゃないけど……
大丈夫なはずだよ。
「ペルセポネ……? それは……どうしてそう思うのだ?」
「古代の闇の力が、吉田のおじいちゃんの息子さんの力なんだよね?」
「そうだなぁ。じいちゃんの息子の力を天界に隠しといたのを、魔王として転移してきた星治の身体に入れ込まれちまったんだ」
「人間のお父さんの身体に入れても爆発はしなかったんだよね?」
「それは……確かにそうだが……日に日に魔王様のお身体は弱っていって……」
ハデスがその時の事を思い出して辛そうな顔をしているね。
「うん。その時の事はお父さんに聞いたよ? かなり苦しくて辛かったって……でも、力自体は嫌な感じがしなかったんだって」
「嫌な感じがしなかった? それはどういう意味だ?」
「たぶんだけど……闇の力自体は悪い物じゃないんだよ。だってハデスが闇に近い力を魔族に充電してあげたら皆喜んでいたでしょ?」
「それは……魔族だからではないだろうか。天族は少量の闇の力でも、苦しくて堪らないのだ」
「うん。そうだね。でも、ハデスは普通に生活しているでしょう? 遥か昔のわたしの身体も魔素には、やられたけど自分の闇の力では弱らなかった。確か、魂と身体が合わないと死産になるんだよね?」
「……死産? 確かにそう聞いたが……」
「だから、闇の力に耐えられなくても爆発は起きないんじゃないかと思うの。それに、お父さんの闇の力にわたしがやられた時があったよね。あの時は、この世界の魔素にやられてわたしの身体が弱っていたのもあったから倒れちゃったけど……爆発なんてしなかった」
「……ペルセポネ?」
「わたしとハデスの赤ちゃんは人間だったルゥとお父さんより強い、天族の身体で産まれてくるんだよ? しかも、わたしは火干しされても全然平気なお父様の娘なの。身体は頑丈なはずだよ?」
「それは……」
「わたしは……変えたいの」
「変えたい?」
「うん。これから先、天界で闇の力を持って産まれてきた赤ちゃんも安心して暮らせるようになって欲しいの。それを、神の娘が示せばあとに続きやすいでしょ?」
もう二度と、容姿のせいで捨てられる赤ちゃんがいなくなるようにしたいの。