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わたし……変態だけじゃなくてバカだとも思われていたりして

 じゃあ、坊っちゃんはココちゃん達と同じクラスなんだよね?


「坊っちゃんはアルストロメリア公爵令嬢とシャムロックの王女様と同じクラスなのかな?」


「はい。そのようですね。公女様もシャムロックの王妹殿下も常に正しいお方らしく、坊っちゃんも安心してアカデミーに通っています」

 

 男爵家の護衛の言う通りだね。

 アンジェリカちゃんもココちゃんも立派な人間だよ。

 あ、じゃあもしかして……


「あのさ……その悪い侯爵令息の領地って……エメラルドが有名だったりする?」


「え? ああ、はい。よくご存知ですね」


「……やっぱりそうか。坊っちゃんは……あ、ヒヨコちゃんと一緒にジャックのクッキーを食べているね。楽しそうだし、今は侯爵令息の話はしない方がいいかな?」


「令息がどうかしたんですか?」


「あぁ……実は、今日令息のクラスと合同講義があってね。ちょっと揉めて……そうしたらわたしが侯爵領のエメラルドの採掘権をもらう事になったの」


「ええ!? 採掘権は揉めたらもらえるものなんですか!?」


「あはは……いや、なんて言うか……わたしには商売を教えてくれる師匠がいてね? 色々やり方を教えてもらっているの」


「なるほど……では……侯爵領地のエメラルドはどうなるんですか?」


「どうしても、その採掘権が欲しいって言う『人』がいてね? あげちゃったの」


「ええ!? もったいないです!」 


「わたしが持っていても仕方がないからね。これで良かったんだよ。だから、あとで坊っちゃんに教えてあげて? 近いうちに侯爵家は没落するか、採掘権を持っている『人』に支配されるって。令息もこれで大人しくなるんじゃないかな?」


「……さらに嫌がらせをしてくる事はありませんか? 坊っちゃんがまた殴られでもしたら……」


「その辺りは大丈夫だよ。わたしがしっかりやっておいてあげるから」


「やる……ですか?」


「弱い者いじめはダメだよって『ギュー』ってやっておくからね?」


「ゴクリ……怖い事をするんですか?」


「あはは! 大丈夫だよ。口で言うだけだからね」


「口で……? そうですか……安心しました」


 ……よほどわたしが怖いんだね。

 まあ、変な事ばかりしているから仕方ないかな?


 それにしても、侯爵令息は自分よりも地位の低い人間を、先生に隠れて虐げるなんて最悪だね。

 しかも坊っちゃんより酷い人間なんて、かなりのクズだよ?

 わたしのクラスにはそんなクズはいないから今日も楽しく勉強してきたけど……

 そのクズのいるクラスの学生はアカデミーに行くのがイヤなはずだよ。

 ん?

 あれ?

 アカデミーの普通科は貴族の為のクラスで賢い順にクラス分けされているんだよね?

 アンジェリカちゃんとココちゃんは絶対に賢いクラスのはず……

 って事は同じクラスの坊っちゃんも賢いって事だよね!?

 てっきりバカだと思っていたのに!

 同じクラスにはレオンハルトとマクスもいるんだよね?

 もしかして、わたし……バカだと思われていたりして?

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