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坊っちゃんも色々大変みたいだね

「今帰ったぞ! いいものを見たなぁ」


 吉田のおじいちゃんがご機嫌で帰ってきたね。

 市場の皆が眩しくないように、離れた場所に空間移動したんだね。

 ベリアルは……あれ?

 ご機嫌で坊っちゃんに抱っこされているね。


(……なるほど。ベリアルは坊っちゃんの伯爵家の領地の、おいしいお菓子で簡単に餌付けされたようですね)


 ゴンザレス!?

 それ、本当!?

 ベリアルは、なんて簡単なヒヨコちゃんなの!?

 心配になっちゃうよ……


「吉田のおじいちゃん……坊っちゃんは領地で、どうだった?」


「ん? 頑張って覚えたての踊りを……ぷっ! 蚕相手に……ぷはっ! 披露してたぞ?」


 よほど楽しかったんだね。

 身体を揺らしながら笑っているよ。

 わたしも見たかったな。


「それで……あの……蚕は?」


 坊っちゃんの貴族の方の護衛が尋ねているね。


「あぁ……大丈夫だ。繭を作り始めたぞ? あれは本物の『蚕にやる気を出させる踊り』だったんだからなぁ」


 本当はおじいちゃんが蚕に話してくれたんだよね?

 坊っちゃんが頑張ったからそういう事にしてくれたのかな?


「そうでしたか……では本当にあなた様は神殿の救世主様の踊りのお師匠様なんですね……てっきり坊っちゃんを騙す為に嘘を言っているのかと……」


「そうだなぁ。今回の『坊っちゃんに蚕の前で恥ずかしい踊りを踊らせちゃおう作戦』は蚕が繭を作らなくなるっていう、ぺるぺるのヘンテコな思いつきから始まったからなぁ」


「ヘンテコ!? 違うもん! ヘンテコじゃないもん! それと、作戦名が全然違うよ?」


「ぷはっ! そうか、そうか」


「踊りのお師匠様……本当にありがとうございます。坊っちゃんは……なんと言うか……最近はアレだったので……これで自信がついたと思います」


「アレ? 何かあったんか?」


「はい……パーティーで……揉めた……と言うよりは一方的に殴られたらしくて、塞ぎ込んでいたんです」


「そうか、そうか。世の中、上には上がいるからなぁ。一番偉いはずの王様だって、豊かな他国の王様からバカにされる事もあるしなぁ」


「坊っちゃんは領地では一番偉く誰からもバカにされる事がなかったので、あの件以来かなり落ち込んでいて……わたしは……坊っちゃんとは同じ年ですけど、弟みたいにも思っているんです……」


「そうか、そうか。心配してたんだなぁ」


「はい」


「腹の立つ事も多いだろうけどなぁ」


「それは……雇用主の息子なので我慢しています。それに、坊っちゃんを殴った奴に比べたら坊っちゃんはまだ心があると言いますか……かわいいところもあると言いますか」


「そんなに酷い奴が、坊っちゃんを殴ったんか?」


「侯爵家の奴で……もう最悪で。アカデミーでは講師の目があるから少しは大人しくしているようなんですけど……」


「そうか、そうか。アカデミーに通ってるなら同じ年か、ひとつ下か……」


「同じ年です。普通科の2年生ですから……クラスが違うらしいのでまだ安心しているんですけど……そいつはクラスでは講師に見つからないように陰湿な嫌がらせをしているようで辛い思いをしている貴族が大勢いるらしくて……」


「そうか、そうか。困ったもんだなぁ」


 確か普通科は三クラスあるんだよね?

 合同講義をしたクラスにはそこまでのクズはいなかったけど……

 簡単にエメラルドの採掘権をもらえたくらいだし。

 ココちゃんとアンジェリカちゃんとレオンハルトは同じクラスだからそんな酷い奴がいたら止めているはずだよ。

 あれ?

 わたしのクラスは違うから、やっぱり合同講義をしたクラスにいたのかな?

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