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護衛も大変なんだね

「今頃、坊っちゃんは蚕にあの踊りを披露している頃でしょうか」


 坊っちゃんの平民の方の護衛が呟いたね。

 

「あなたが、さっき坊っちゃんに言った事って……坊っちゃんの為だったんだね」


「あの……はい。市場の皆さん、先程は失礼な事を言って申し訳ありませんでした」


「坊っちゃんに、大切なのは真心だって分かって欲しかったんだよね」


「……はい。坊っちゃんは、あの……良く言えば扱いやすいと言いますか。あの……はい」


「純粋なんだよね。あの感じだと領地では、かなり甘やかされて育ったみたいだね」


「わたしは最近雇われた護衛ですからよく分かりませんが……」


 平民の護衛の方は確かアカデミーを出たって言っていたよね。

 平民がアカデミーに入れるようになったのはお兄様が王様になってからだったよね?

 

「えっと……」


「あ、はい。わたしはアカデミーを卒業してはいなくて。坊っちゃんのご両親は一人息子の坊っちゃんをそれは大切に育てられていたようでして、少し前にもう一人護衛をと募集をかけていてその条件がかなり良くて……」


「なるほど。それでアカデミーを辞めて護衛になったんだね」


「はい。あの好条件は、これから先もう無いかと思いまして……」


「……坊っちゃんは誰かに殴られたのかな? さっきのあの話って……何があったか分かる?」


「あぁ……アカデミー内ではなくパーティーでのようです。護衛は参加できないので中で何があったのかは分かりませんが……」


「……嫌な話だね」


「はい。護衛として情けないです」


「仕方ないよ。護衛がいない所だから坊っちゃんを殴ったんでしょ?」


「……あの」


 お?

 もう一人の護衛が話し出したね。

 確か男爵家の五男だっけ?

 声がガラガラだね。


「風邪かな? 大丈夫?」


「あ、いえ。声変わりです」


「声変わり? え? 年上かと思っていたけど、もしかして同じ年くらいなのかな?」


「はい。わたしは十五歳です」


「え? そうなんだね。坊っちゃんとも同じ年なんだね。同じ年の人間の護衛なんて、色々大変でしょう」


「……わたしは貴族と言っても男爵家ですし、五男ですからアカデミーにも通えませんし……」


 あぁ……

 貴族は授業料が免除されないのかな。

 平民は無料だけど……

 難しい問題だね。


「そうだったんだね」


「坊っちゃんのご両親に剣の腕を認められて護衛として側に置いてもらえて……坊っちゃんは、確かに領地でかなり甘やかされていました。だから、このアカデミー生活がかなり辛いらしく……市場の皆さんには本当にご迷惑をおかけしました」


 しっかりした子だね。

 まだ遊びたい年頃のはずなのに……

 この世界には義務教育なんて無いからね。

 幼い頃から働かないと暮らしていけないのは平民だけじゃないんだね。

 生まれた家によってかなりの格差があるんだ。

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