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家族だから似ているのは当然だよね

「よし、じゃあヒヨコちゃんの寝癖のところをその日本刀でサクッと……」


 あれ?

 わたしはもう元気になったのに……

 吉田のおじいちゃんはまだこの茶番を続けるの?


「ええ!? じいちゃんは何を言ってるんだよ!? イヤだよぉ! うわあぁん! ばあちゃん助けてぇ」


 今度はベリアルをロックオンしたのかな。

 ベリアルは賢いね。

 吉田のおじいちゃんは、おばあちゃんに弱いから、おばあちゃんの所に逃げれば安心だよ。


「なんだ? イヤなんか? じゃあ……誰をサクッとするか?」


 ん?

 ……わたしの為じゃなくてサクッとするところを見たいだけなんじゃない?


「ちょっと……おじいちゃんは、どうしてそんなにサクッとしたがるの? 危ないよ?」


「だってだってぇ……時代劇の中に入ったみてぇでかっこいいんだもんっ! 近くで切れ味を見てぇだろう?」


 吉田のおじいちゃんのこういうところはお父様とそっくりだね。


「……天ちゃんと一緒にしねぇで欲しいなぁ」


 いや、そっくりだよ。


「……天ちゃんと一緒にしねぇで欲しいなぁ」


 またわたしの心の声を聞いているね。

 独り言みたいになっているよ?

 うーん。

 真顔で否定しているけど……

 お父様は確実におじいちゃん似だね。

 そしてわたしは性格がお父様似って言われるんだよね。  

 って事はわたしもおじいちゃん似って事か……


「……ぺるぺると一緒にしねぇで欲しいなぁ」


 ……!?

 それって悪口だよね?


「ん? じいちゃんはヒヨコちゃんの寝癖を見て鼻血を出すような変態さんじゃねぇからなぁ」


 うぅ……

 それに関しては言い返せないよ。


「さて、何をサクッとするかなぁ……」


「もうサクッとさせるのはやめてよ。ジャックが困っているから」


「じゃあ……あっちの陰に隠れてる奴らでもサクッとやるか?」


 やっぱりおじいちゃんも気づいていたんだね。


「ジャックを殺人犯にはできないよ? それに……隠れているのは坊っちゃんとその護衛だよね?」


「そうだなぁ……やれやれ……ぺるぺるに助けを求めに来たか? それとも……」


「わたしが元聖女で王妹だって知ったのかな?」


「どうだろうなぁ」


「護衛も大変だね。あのわがままな坊っちゃんを守らないといけないんだから」


「かなりの忍耐力がねぇと無理だろうなぁ」


「……護衛がかわいそうだから話を聞いてあげようか。ねえ、坊っちゃん、こっちにおいでよ!」


 坊っちゃんがビクッてしたね。

 あんなにバレバレなのに気づかれていないと思っていたのかな?

 あ、そういえば、護衛の二人に蚕が繭を作らなくなったら『市場の相談役が蚕のプロだっていう設定にして坊っちゃんに話して欲しい』ってお願いしたんだった。

 だから、市場に来たのかも。


「相談役……ついに坊っちゃんを謝らせる時が来たみたいだよ? 『蚕でギャフンと言わせちゃおう作戦』を覚えているかな?」


 心の準備はできているのかな?

 全ては、相談役の演技力にかかっているんだよ。


「え? なんと……思ったより早くこの時が来ましたね。おほん。わたしの演技力で完全に騙してみせましょう」


 ……確か、相談役の演技力はわたし並みに酷いんだよね。

 不安になってきたよ。

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