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ハデスはやっぱり優しいんだよね

「うわあぁん! ばあちゃん……うさちゃんがいじめるよぉ!」

「カーバンクル……もう少し協調性という……」

「ハデスニ、ダケハ、イワレタク、ナイ」

「ばあちゃん……うわあぁん! ハデスが怖いよぉ」

「わたしは怖くない。むしろ優しいだろう?」

「ハ? ハデスガ、ヤサシイワケ、ナイ」

「カーバンクル……いくらペルセポネのペットでも赦せる事と赦せない事が……」

「……ヤルノカ! オレハ、ヤミノ、チカラヲ……」


 はぁ……

 ベリアルとうさちゃんとハデスは、さっきからずっとこうだね。

 困ったなぁ……

 あ、そうだ。

 

「ねぇ、うさちゃんはベリアルのボンネットを借りて、おでこの魔法石を隠せないかな? 皆でリコリス王国の市場に遊びに行こうよ。ね?」


 空気が悪すぎるからね。

 移動すれば少しは状況が変わるかも。


「ペルセポネガ、ソウイウナラ、イッテモイイ」


「ベリアルももう泣かないで一緒にジャックのクッキーを食べに行こう?」


「ひっく……ジャックのクッキー? うぅ……行く……ひっく……」


 ベリアルは『キライ』って言われてからずっと泣いているね。

 市場に行っておいしい物を食べればいつものご機嫌なヒヨコちゃんに戻ってくれるかな?


「ハデスも一緒に行こう?」


 皆で行けばきっと楽しいよね。


「あぁ……行きたいのだが……ドラゴンの島に行かねばならないのだ。ヴォジャノーイの戦士達よ、離れた場所からペルセポネを見守ってくれ」


「「「お任せください!」」」


 ヴォジャノーイ族のおじちゃん達がニコニコで返事をしているね。

 今は人化しているから、ハデスがいないうちに市場でわたしと遊びたいと思っている顔だね。

 ルゥが小さい時も遊んでもらっていたよね。

 懐かしいな……


「……カーバンクルよ。遥か昔とは人間も変わっている。知能も高くなったからな、気をつけろ?」


 ハデスがうさちゃんに注意しているね。

 ベリアルは吉田のおじいちゃんが顔を洗いに広場に連れて行ったね。

 泣き止んでくれればいいけど…… 


「……ニンゲン、ズルガシコイ。ペルセポネノ、タマシイ、ハルカ、ムカシニ、キズツケタ。ニンゲン、キライ」


「だからといって何かあっても攻撃してはダメだ。ペルセポネは人間を大切に思っているのだ」


「……オレハ、ニンゲンガ、キライダ」


「カーバンクルがペルセポネの大切な者を嫌えば苦しむのはペルセポネだ。分かるか?」


「……? オレガ、ニンゲンヲ、キラウト、ナゼ、ペルセポネガ、キズツク?」


「わたしも人間は嫌いだった。だが、ペルセポネ……『ルゥ』には人間の家族がいるのだ。その辺りはペルセポネから聞いているのだろう?」


「……キイタガ、ソレガ、ドウシタ」


「ルゥの家族は良い人間だ。真っ直ぐで温かい。カーバンクルも毛嫌いするだけでなく好きになろうと努力しないといけない。ペルセポネは人間が好きなのだ。カーバンクルが人間を嫌えば悲しむだろう」


「オレハ……ハルカムカシ、ペルセポネノ、タマシイガ、ニンゲンニ、ハクガイ、サレルノヲ、ヤミノチカラトシテ、ミタノダ。スキニ、ナレル、ハズガナイ」


「それから長い年月が経った。ペルセポネの魂を迫害した人間はもう生きてはいないのだ」


 やっぱりハデスは、うさちゃんと分かり合おうとしているみたいだね。

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