うさちゃんは思っていた性格と違ったのかも……
「うさちゃんは話せるんだな。うわぁ……声は低めだけど、かわいいなぁ」
ベリアルはうさちゃんと仲良くしたいみたいだね。
さっきまでのハデスとの揉め事を見ていなかったのかな?
「……」
やっぱり、うさちゃんはベリアルに話しかけないんだね。
どうしたのかな?
「うさちゃんはオレがキライなのか? どうしてオレにだけ話しかけてくれないんだ?」
ベリアルが悲しそうな顔をしているね。
「……ヒヨコ……ペルセポネノ、ニオイガ、スル」
え?
わたしの匂い?
「え? 今日アカデミーで抱っこされてたからか? ぺるみの匂い? クンクン……しないけどなぁ?」
くぅぅ!
自分の匂いを嗅ぎながら首をかしげているヒヨコちゃんが激かわだよ!
「スル……イッパイ、スル。オレノ、ペルセポネ……トラレタ。ヒヨコ、キライ」
うさちゃんはこんなに嫉妬深かったんだね。
知らなかったよ。
遥か昔に天界にいた時はウトウトしてずっと眠っている感じだったけど……
「ええ!? オレだって好きで抱っこされてるわけじゃないんだ! ぺるみを守る為に仕方なく……」
「ウソツキ。ペルセポネニ、ダッコサレテ、ウレシイクセニ」
「う、嬉しくなんてないし! ほ、本当に嬉しくなんてないんだからなっ!」
……?
ベリアルが慌てている?
「……ホントウカ?」
「本当だよ! ぺるみを守る為に抱っこされてるだけだ!」
「……シンジラレナイ。ペルセポネハ、コンナニ、ウツクシインダ。『テンカイノタカラ』ナンダカラナ」
「確かに昔のペルセポネ様は天界の宝だったけど今のぺるみはただの変態だろ!?」
うぅ……変態。
っていうか、わたしって天界の宝って呼ばれていたの?
知らなかったよ。
聞いた事無いけど……?
「オマエ……ペルセポネノ、ワルグチハ、ユルサナイ」
うさちゃんが怒り出しちゃったね。
やっぱり父親みたいな立ち位置なのかな?
「オレ、うさちゃんとは仲良くできないっ!」
「オレモ、オマエガ、キライ。ダイキライ」
「……うわあぁん! ばあちゃん! うさちゃんがキライって言ったぁ!」
「フン! ナキムシ!」
……うさちゃんはこんな性格だったんだね。
だからハデスが捜すのを嫌がったんだ。
「うさちゃん……落ち着いて?」
これ以上ベリアルを泣かせないようにしないと。
かわいそうだよ……
「……ペルセポネノ、ワルグチハ、ユルサナイ。ペルセポネ、セカイイチ、カワイイ」
……ハデスが一人増えたみたいになっているよ?
「そうだ。ベリアル……ペルセポネの悪口は決して赦されない。鍛錬をやり直す必要があるな」
ハデス!?
まさか、あの地獄の鍛錬をかわいいヒヨコちゃんにやらせるの!?
ダメダメ!
絶対ダメだよ!
あぁ……
ベリアルがつぶらな瞳をウルウルさせながら震え始めたよ。
絶対にやめさせないと!
「ハデスも落ち着いて!」
ん?
ハデスがうさちゃんを見つめているね?
「カーバンクル……初めて考えが合ったな」
お?
今度こそ和解したのかな?
「……ハデスモ、キライダ」
……うさちゃん、空気が読めないのかな?
と言うよりハデスの事が本気で嫌いなのかも……
「……!? わたしもカーバンクルが嫌いだ」
あぁ……
ハデスまで……
見た感じハデスは歩み寄ろうとしているけど、うさちゃんがそうしたくないって事なのかな?
吉田のおじいちゃんがうさちゃんの居場所を教えなかった理由がよく分かったよ。
これは、揉めそうな予感しかしないよ。




