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変わらない日常

「あぁ……ぺるみ様。おはようございます」


 ん?

 この声は……


「ヴォジャノーイ族のおじちゃん達! おはよう」


 おじちゃんもぺるみって呼んでいるね。

 ……?

 いつもみたいにニコニコ、ソワソワしていないね。

 いつもだったら撫でて欲しくてすり寄ってくるのに。

 もしかして、わたしが天族の身体に戻ったから?

 天族と魔族は仲が悪いから?

 そんなの寂しいよ。

 

「……おじちゃん達はわたしが嫌いになった? 天族のわたしは嫌い?」


「そんな事は! ただ……あまりに神々しく……わたし共のような者が軽々しく近づいてはいけない気がして……」


「わたしはわたしだよ? ルゥの身体が赤ちゃんの時からずっとおじちゃん達の事が大好きなの。だから……今までと同じだよ? 何も変わらないで欲しいよ……」


「ぺるみ様……はい……そうですね。ぺるみ様は天族になっても変わりませんね……」


「うん。変わらないよ?」


「ぺるみ様には……今までの概念を覆されてばかりです。『人間と魔族』『天族と魔族』この関係はいつでも最悪のものでした。ですが……わたしは、人間だった時のぺるみ様も、天族のぺるみ様も大好きです」


「嬉しいよ? わたしもずっとおじちゃん達の事が大好きなの」


「……! わたしもぺるみ様が大好きです!」

「何を勘違いしてるんだ!? 今のはわたしに言ったんだ!」

「はあ? 愚かだな! わたしに言ったに決まってるだろ!」


 いつも通りのおじちゃん達に戻ってくれて嬉しいよ。

 

「お前達は、何をしに来たのだ?」


 ハデス……

 確かにそうだよ。

 ……おじちゃん達が今まで通り、ハデスにペコペコしているね。


「前王様。人魚の海域への立ち入り許可が下りました」


「そうか……ではリコリス王にそう伝えてくれ。それから、ペルセポネが無事に本来の姿に戻り、ルゥの身体を大切に預かっているともな。……ところで、わたしは前王のままでペルセポネをぺるみ様と呼ぶとは……」


 そうだったね。

 リコリスのお兄様の海賊の家族が人魚を捜していたんだよね。

 ……ハデスはおじちゃん達にお説教を始めたのかな?

 かわいそうだから助けてあげないと。


「ハデス、呼び方なんて何でもいいの。わたしはルゥだった時みたいに、おじちゃん達と仲良くできてすごく嬉しいの」


 だから怒らないで欲しいよ。

 

「……そうか。ペルセポネがそう言うなら……では、明日人魚の海域に行こう。ペルセポネもそのつもりでな?」


 ハデスは、わたしも連れて行く約束を覚えていてくれたんだね。


「うん。人魚に会うのは初めてだよ」


 いつも人間達に人魚に間違えられていたけど、本物の人魚ってどんな感じなのかな?

 群馬で持っていた絵本に出てきたみたいに綺麗なのかな?


「ええ!? いいなぁ! いいなぁ! じいちゃんも人魚に会いてぇなぁ!」


 吉田のおじいちゃん……

 また始まったね。

 でも、相手は人間じゃないから裸踊りをしても大丈夫かも。


晴太郎はれたろうばっかりずるいよ! お父様も行く! 今度は絶対付いて行くからね! (えへへ。人魚なんて、絶対にかわいいに決まってるよ! 楽しみだなぁ)」


 お父様、心の声が口から出ちゃっているよ?


「ゼウス!? 今なんて言ったの!? 聞こえてたわよ!?」


 あぁ……

 ヘラも来ていたんだね。

 お父様、終わったね……

 今日も日干しされるのか。

 あれ?

 火干しだっけ?

 それとも怪力で……


「まあ、待て。ヘラ、実は……」


 ハデス?

 ヘラと小声で話しているね?

 お父様に聞かれたくないのかな?


「ぷはっ! 分かったわ。わたしも付いて行くわね? あははっ!」


 ……?

 ヘラの機嫌が直った?

 人魚には何か秘密があるのかな?

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