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合同講義は楽しいな(5)

「そう書く? どう書くんだ?」


 貴族っていってもまだ子供だからね。

 誓約書なんて分からないか。


「あなたは、わたしがかけ算を暗唱できないと思っているんでしょう?」


「できるはずないだろ? バカクラスに転入してきたんだ。バカに決まってるからな」


「じゃあ、あなたはわたしに何を差し出すの? ちなみに生首とかは、いらないからね?」


「生首……? じゃあ……領地のエメラルドの採掘権をやる。どうだ?」


「領地の家族に相談しなくていいの?」


「オレが次期領主なんだ。問題ないさ。それよりお前は、黄金の国の王女なんだよな? お前はオレに黄金を差し出せ。どうだ?」


「いいよ? 国中のきんをあなたにあげるよ。わたしも紙に書くよ? あとになって文句を言われても面倒だからね」


「「「ぷっ」」」


 前にスウィートちゃんと同じような事があったからそれを知っているクラスメイト達が吹き出したね。

 

「……? 何を笑ったんだ? ああバカすぎてかけ算がなんだかも知らないんだな? 本当にバカクラスだな」


 本当のバカはどっちかな?

 よし。

 誓約書もお互い書き終えたし……

 ふふふ。

 これでエメラルドの採掘権はわたしの物だよ。

 ベリアルにエメラルドのティアラでも作ろうかな?

 ぐふふ。

 

「さて、では先生は証人になってください」


「あの……殿下……大丈夫ですか? いくらあのお方の生まれ変わりだとしてもかけ算は……」


 やっぱり先生は、わたしがルゥだった事を知っていたんだね。


「大丈夫だよ? じゃあいくよ? 一かける一は一、一かける二は二……」


 かけ算を暗唱できたら天才なんて、この世界は最高だね!

 ふふふ。

 生意気な男子学生が青ざめていくよ。

 

「九かける九は八十一……はい。じゃあ、エメラルドの採掘権はわたしのものだね。安心して? 領地は、いらないから。もらっても困るし」


「……インチキだ! 何かしたに違いない! 先生……助けてください」


「……わたしには無理だ。身分が違いすぎるし、殿下はインチキはされていない。この大講義室にいる全員が見ている中でそんな事はできないだろう?」


「じゃあ……間違えとか……そうだ。誰もかけ算をできないんだから嘘を暗唱していたかもしれない!」


「全部合っていました」


 お?

 誰かな?

 ずいぶん賢そうな女の子だね。

 隣のクラスの子だよね?


「そんなはずは……」


「この『立派な大人の為の数学、かけ算を覚えたら君も天才』に書いてある通りでした」


 何?

 立派な大人の為の本?

 ふぅん。

 そんな物があるんだね。

 すごい書籍名だよ。


「そんな……じゃあ……エメラルドの採掘権は……」


 生意気な男子学生が膝から崩れ落ちたね。

 家族に散々怒られるだろうね。

 

「これに懲りたら二度と他人をバカにしない事だね。……だって一番のバカはあなたでしょ?」


 よし。

 ここで少し悪そうに笑えば……ふふふ。

 完璧だね。

 やっぱり、爽やかに笑った方が良かったかな?

 うーん?


「先生、お騒がせしました。講義を始めてください」


 遊んでいると、おばあちゃんに怒られちゃうからね。


「あぁ……はい……では……『地方貴族の抱える問題について』皆さんの意見を聞かせてください。では、挙手で……」


 おぉ!

 やったばかりの内容だよ!

 クラスメイトの皆の瞳がキラキラに輝いているよ?


「(ペリドット様……オレ……ずるいかもしれないけど、ヒヨコ様とペリドット様のあの素晴らしい考えを話してもいいですか? )」


「(ふふ。気にしないで話して? クラスの皆もだよ? 隣のクラスの人間に、皆の賢さを見せつけてあげよう? )」


「「「(はいっ! )」」」


 ふふ。

 クラスの皆が次々に答えていくね。

 先生も隣のクラスの人間達も、驚きが隠しきれない表情だね。

 これでバカにされなくなればいいけど……

 来月のテストで皆の成績が上がるように楽しく勉強する方法を考えよう。

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