表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

496/1484

合同講義は楽しいな(3)

「これから、このリコリス王国は変わっていくんだよ。あなたはその変わる時代を生きていくの。何かが変わるってすごく大変なんだよ? 意見がぶつかって、今まで仲の良かった人同士でも揉めるんだよ。『今まで通りがいい人』と『新たな時代を求める人』とでね。でも、そうじゃないと新しい時代は訪れないの。そうやって時代は変わるものなんだよ? でも……あなたが今先生を侮辱したのは『揉めている』んじゃないの。ただ他人をバカにして自分の方が上だって優越感に浸りたいだけなんだよ」


 ……無駄だったかな?

 まだ十五歳くらいだろうからね。

 よく分からなくて当然か。


「あなたは……先生を女だってバカにしたけど、あなたは女じゃないの?」


「え?」


 お?

 初めて反応があったね。


「他人から言われてイヤな事は、自分も言ったらダメなんだよ?」 


「……実際バカだし」


 この状況でそこまで言うなんて……

 本当にすごく勉強ができないクラスって事?


「そうだとしても、バカなんて良くないよ?」


「だって……あの合計点じゃあ……一人一教科五点もとれていないんじゃ……」


「ん? 五点なら半分はできているんだよね?」


「え? あ……百点満点だけど」


「ん? え? 百点満点で五点?」


「……そうよ。だって、バカだけが集められたクラスなんだから」


 ……バカだけが集められたクラス。

 わたしもその中の一人……か。

 学長はわたしをバカだと思っていたからこのクラスに入れたんだね。

 知りたくなかったよ。


「ペリドット様……あの……知らなかったんですか?」


 ジャックが気まずそうな顔をしているね。


「あ……うん。えっと……でも、今日から普通に講義が進んでいるから次のテストは良い点数がとれるよ。ね?」


 講義の邪魔をするスウィートちゃんもいなくなったし。

 わたしもちゃんと勉強しないとおばあちゃんに雷を落とされちゃうからね。


「……あの。それが……何が分からないのかも分からないくらい勉強ができないんです」


 ……なるほど、負のスパイラルだね。


「次のテストはいつ?」


「え? えっと……来月の中旬くらいですけど……」


「このままバカにされっぱなしなんて絶対ダメだよ! 一緒に今までの復習をしよう?」


「え? あ……でも……さっぱり分からなくて……」


「大丈夫! すごく分かりやすい勉強の仕方があるの。騙されたと思ってわたしに五分ちょうだい?」


「五分……ですか?」


「うん! あ、今じゃないよ? クラスルームに帰ったらね?」


「……はい」


 この世界の数学は小学校低学年レベルなんだよね。

 ルゥだった頃にハデスに数学を教えてもらった時にスラスラ解いて驚かれたんだ。

 ……生後一ヶ月くらいだったから『ルゥは天才だ』って大騒ぎされたよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ