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ベリアルは超絶かわいいから、我慢なんてできないよね

「では、これで午前の講義を終わりにします。昼食後は隣のクラスと合同で講義を行いますので大講義室に集まってください。さてペリドット様、本日もピクニックを?」


 先生も久々に講義を進められて安心したみたいだね。


「うん! もう木陰に用意ができているはずだよ? 黄色いヒヨコちゃんと、友達の緑の鳥とゴンザレスも来ているはずだし。先生も一緒に行こう?」


「まぁ、お友達の緑の鳥様? 愛らしいのでしょうねぇ」


「うん! ヒヨコちゃんと違って細身っていうか……鳥らしい体型だよ? ヒヨコちゃんは皆まん丸だからね」


「ふふ。はい。フワフワでまん丸でかわいいですね」


「うん! 堪らないよね……」


「はい。堪りませんよね」


「「ぐふふ」」


「うわ……やっぱり先生も変態だったか……ぺるみ側に堕ちたのか」


 ベリアル……

 いつの間にか来ていたんだね。

 わたし側に堕ちたってどういう意味!?

 悪口だよね?


「あらあら、ヒヨコ様。本日も超絶かわいくて『堪らないね、こりゃ』ですね」


「先生がどんどんぺるみ化している!? オレがいない午前の間に何があったんだ!?」


「ふふふ。人は……他人に良く見せようとする皮を脱げば皆こんなものですよ? 全世界がヒヨコ様の愛らしさにメロメロなのです。ささ、ヒヨコ様、抱っこでピクニックに行きましょうね? ぐふふ。あのつむじが寝癖だったなんて……堪らないわ」


「オ……オレは自分で飛んで行くからいいよ。なんか、がっつり吸われそうだし……」


「あらぁ、残念です。では、ヒヨコ様の飛ぶ姿を後ろからじっくりと……ヒヨコが飛ぶ? 本来は飛ばないはずのヒヨコが飛ぶ!? 冷静に考えれば、空を飛び、人の言葉を話し、抱き枕の形に寝癖ができるヒヨコなんて……国宝級超絶かわいくて、堪らないねこりゃ! ですっ!」


「うげ……ぺるみがもう一人増えたみたいだ……最悪の気分だ」


「ふふふ。ヒヨコ様……増えたのは一人ではありませんっ! このクラス全員がヒヨコ様の愛らしさに心を奪われたんですっ!」


 前の席のジャックもすっかりベリアルに夢中になっているね。

 このクラス全員がベリアルに心を奪われた……か。

 やっぱりベリアルには魅了の力があるのかな?

 そんなの無くても激かわだから夢中になっちゃうけどね。


「ジャックまで……どうして突然そうなったんだ?」


「……今までは貴族として決められたように……何ていうか……オレは男爵家で……正直貴族の中では下の方で、だからアカデミーでは、居心地が悪くて。でもペリドット様が来てから世界が変わったっていうか……」


「ん? ぺるみが来てから変わった?」


「王女殿下なのに貴族や他の王族の中にいるのが気まずくて外で食事をしたと聞いて、最初は驚いたんです。王族は頂点だから、一番なのにどうして気を使うんだろうって。でも、すぐに分かりました。ペリドット様は自分らしく生きているんだなって」


「……自分らしく?」


「はい。悪い者には毅然と、困っている者には優しく手を差し伸べて……それだけじゃなくて、前に進ませてくれる。そんな素晴らしいお方なのにヒヨコ様にはメロメロで。鼻血やヨダレを垂らしながらにやける姿に『ああ、ペリドット様は自分らしく生きているんだ。こんな風に生きてもいいんだ』と思い知らされました」


 え?

 それ、褒めているんだよね?

 途中から悪口になっていなかった?


「……それでぺるみ化したのか?」


「自分らしく生きるというのはなかなか難しくて……でもこのクラスの中ではそれができるっていうか。オレにとってこのクラスの皆は……何でも話せる大切な仲間だから。オレみたいな男爵家でも、差別しないでくれる大切なクラスメイトだから」


「そうか……」


「だからヒヨコ様がアカデミーにいられる二ヶ月を悔いのないように過ごしたいと皆で話し合ったんです!」


 おぉ……

 いつの間に?


「……それでぺるみ側に墜ちたんだな」


「晴れやかな気分です。好きなものを好きと言えるのは本当に清々しいですね」


「……おい。だからって、なんでさっきからオレの後頭部を吸ってるんだ?」


「ははは! 一秒たりとも無駄にはしません!」


 ジャックが完全にこちら側に来たね。

 ふふふ。

『全種族ベリアルアイドル化計画』が動き出したんだ。

 ベリアルは超絶かわいいからね。

 もう誰にもこの計画を止める事はできないよ。

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