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お父様は辛い幼少期を過ごしていたんだね

「うーん。じゃあ……おばあちゃんにお願いしようか。お裁縫がすごく上手なんだよ?」


「そうだったね! お月ちゃんは群馬でもよく破れたパンツを直してくれたよね」


 お父様は田中のおじいちゃんの姿でパンツを直させていたのか……


「パンツ……そんな事させてたの?」


「じゃあ、早速掘り出さないとねっ!」


「その前に、お母様とヘスティアの花を包まないとね。花を渡しながら謝るんだよ?」


「……はぁい」


 この感じ……

 お父様って、小さい子供みたいだと思っていたけど……


「ヘラ、お父様って昔からこんな感じなの?」


 今は集中して花を包んでいるからお父様には聞こえていないみたいだね。


「あぁ……幼い頃のゼウスの事は姉弟の誰も知らないのよ。わたし達は父親の腹の中に飲み込まれていたから。でも……ずっとこんな感じだったわよ? いや、違うわね。だいぶ良くなったかしら。初めて会った頃は周りに興味が無いっていうか、でも一度執着すると手に負えなくてね。特殊な環境で育ったようだから……」


「特殊な環境?」


「ゼウスは隠されて育ったのよ。父親に飲まれない為にね。今思えば当時は感情が無かったようにも見えたわね」


「感情が無い……」


「でも、すぐにわたし達姉兄に執着っていうか……上手くは言えないけど。長い年月をかけてやっと今のまともな感じ? に、なったのよ」


「前はもっとすごかったって事……か」


 お父様が家族以外に関心が無い理由が分かったよ。

 お父様は……


「できたっ! どうかな?」


 いつの間にか花を包み終わったんだね。

 ぐちゃぐちゃだけど頑張った感じが伝わってくるよ。


「ふふ。お父様、頑張ったね。ヘスティアもお母様もきっと赦してくれるよ」


「うんっ! じゃあ、ドレスを掘り出さないとねっ!」


「第三地区に戻ろうか。ヘラも一緒に行ける?」


「あぁ……わたしはこの花を花瓶に飾りたいから一旦帰るわ。ハデスにも話があるし。じゃあ、ゼウスをお願いね」


 これで、ヘラには赦してもらえたね。

 あとは、ヘスティアとお母様か。

 

 空間移動で第三地区に戻るとドレスを掘り出す。


 うわぁ……

 土でかなり汚れているね。

 あ、このドレスはヘスティアが魔族のベリス王に特注していた物だ。

 天族にはお金が存在しないから、空間移動をしたお礼として作ってもらったんだよね。


 柔らかくて肌触りの良い真っ白い布に、小さい真珠が縫い付けてある。 

 見るからに高そうなドレスだよ。

 困ったな。

 縫い目がほつれたんじゃなくて、布が裂けているよ。

 これじゃあ、おばあちゃんに直してもらっても縫い目が目立ちそうだね。

 

「お父様? これだとお母様に直してもらわないと無理そうだよ。お母様は今日は遅くなりそうかな?」


「うーん。今、ドラゴンの島に行っているんだよ。赤ちゃんが暴れて島の物が壊れて大変らしいんだ」


「赤ちゃんが?」


「うん。赤ちゃんって言ってもドラゴンだからね。かなり大きいんじゃないかな? よく分からないけど」


「お母様は危なくないの?」


「大丈夫だよ。星治も行っているからね」


「お父さんがいるなら安心だね。とりあえず浄化で綺麗にした後にヘスティアに見せて謝ろう?」


 早めに謝って赦してもらおう。

 ヘスティアは優しいから赦してくれるはずだよ。

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