お父様は神様だよね?
「お父様、あまり大声で泣くとヘラにばれるよ? 早く花を紙で包ん……」
「あ! ゼウス! ここに隠れていたのね!?」
ヘラ!?
しまった!
見つかっちゃったよ!
お父様はヘラの分の花を包み終わったみたいだね。
うぅ……
紙がぐちゃぐちゃだけど……
この方がお父様らしいかな?
「うわあぁぁぁ! ヘラちゃん!? いたの!? あの……あのね? えっと……」
「ゼウス……ウリエルにいやらしい人形を作らせ……」
まずいね。
かなり怒っているよ。
「はいっ! これあげるっ!」
お父様が震えながら渡したけど、花だけじゃ赦してもらえないかも……
「え? これ……」
「あの……あの……種をばらまいて……(ペルセポネが)水をあげたら咲いたの。えっと……ヘラちゃんが好きな赤い紙で包んだから……プレゼントだよっ!」
「わたしの為に? ゼウスが包んでくれたの?」
「……うん。いらなかった?」
「……嬉しい! あの何をやらせてもダメダメなゼウスがわたしの為に花を育ててくれたなんて……」
「えへへ。ヘスティアちゃんとデメテルちゃんにもあげるんだっ! だって……怒ってるはずだから……」
「そうね。かなり怒っていたわよ?」
ん?
怒っていたのはヘラだけじゃなかったの?
「えっと……何かあったの?」
あの二人が怒るなんて、かなりの事をやらかしていたりして……
「それが……昨日あれからヘスティアの新しいドレスを勝手に着て破いちゃって、慌ててデメテルに直すように頼んだらしいんだけど仕事を抜け出してヘスティアの宮にいた事がばれてね」
ヘラが呆れながら話しているね。
「え? お父様がヘスティアのドレスを着たの? サイズが無理なんじゃ……」
「うん! きつくて脱げなくて破いちゃったんだ。だって、だってぇ、キラキラでかわいかったんだもん。それで、ドレスを着たままデメテルちゃんに助けを求めに行ったら『今は執務室にいるはずなのに何をしているの』って怒られて……だから、慌てて第三地区に来てマンドラゴラになって土に埋まっていたんだっ!」
『埋まっていたんだ』って……
「……これが神様……これが父親……」
「ペルセポネ……そして、わたしの夫で弟なのよ……」
ヘラも苦労しているんだね。
「「はぁ……」」
なんだか虚しくなってきたよ。
ヘラもため息をついているね。
「お父様、それでそのドレスはどうしたの?」
「え? 第三地区に埋めちゃったっ!」
「はあ!? ダメでしょ!? ちゃんと直さないと! 見せて? どこにあるの?」
「うぅ……だってぇヘスティアちゃんに見られたらもっと怒られちゃうからぁ」
「もうドレスを破った事は、ばれているんだからこれ以上罪を重ねたらダメだよ?」
「うぅ……だってぇ……ビリビリに破れちゃったからぁ」
「とりあえず、わたしが浄化でキレイにするから。それからお母様に神力で直してもらおう?」
「うぅ……でもぉ……今日はデメテルちゃんは予定があるから……もうお出掛けしちゃったんじゃないかなぁ?」
さっきまで第三地区にいたけど……
忙しいんだね。