これが神様か……
「お父様? このまま隠れていたらお母様が困っちゃうよ? 天界のお仕事は神様であるお父様にしかできないんだよ?」
これ以上お母様に大変な思いをさせられないよ!
「うぅ……でもヘラちゃんが怖いから……」
「わたしも一緒に謝るから、ね? 一緒に謝って赦してもらおう?」
「うぅ……ペルセポネがそう言うなら……」
「こういう時はプレゼントだよ! お父様、覚えてる? ずっと前にパパから種をもらって、その辺にばらまいていたでしょ? あの種にずっと水をあげていたの。そしたら花が咲いたんだよ?」
……?
あれ?
頭が、ぼーっとする?
「え? そんな事あったっけ? あ、あったよね。今、思い出した」
「もう……世話をしないから忘れちゃうんだよ? だから、その花をヘラにあげて? もちろん、ヘスティアとお母様にもだよ?」
ん?
何かおかしいと思ったら吉田のおじいちゃんが記憶操作したみたいだね。
でも、どうして花の種をばらまいたなんて記憶操作をしたのかな?
もしかしてお父様とヘラを仲直りさせるのを手伝ってくれるのかな?
「え? ヘスティアちゃんとデメテルちゃんにも?」
「そうだよ。皆もお父様から花をもらったら嬉しいはずだよ? お父様だって、他の人が花をもらって自分だけもらえなかったら悲しいでしょ?」
「確かに……そうだけど」
「はい、じゃあキレイな紙があるからそれにくるんでプレゼントしようね?」
「うぅ……上手くできるかな?」
「お父様なら絶対にできるよ?」
「絶対にできる?」
「うん! わたしは雪あん姉にそう言われると頑張れるんだよ?」
「……ペルセポネも手伝ってくれる?」
「……仕方ないね。雪あん姉、ごめんなさい。あまりお手伝いできなくて……」
「ははは! 気にするな! ぺるみがいてくれるだけでオレは気持ちがあったかくなるんだ! そうだ、今度はゆっくり温泉の島にでも行くか」
「うわあぁ! 楽しそうだね!」
雪あん姉と温泉かあ……
最高だよ!
「お父様も行きたいなぁ」
この世界は服を着たまま温泉に入るから一緒に行っても平気だよね。
「そうだね。お父様も神様の仕事で疲れているからね。皆で一緒に温泉に入ったら楽しいだろうね」
「やったぁ! えへへ。ペルセポネと温泉かぁ。楽しみがあるとイヤな事も頑張れるよね!」
「お父様は、神様の仕事がイヤなの?」
「だって、だってぇ。ずっとペルセポネと一緒にいたいのに、忙しすぎて無理なんだもん! 群馬は良かったなぁ。ずっと遊んでいられたし」
「お父様は、神様を辞めたいの?」
「うーん。だって……神様って言っても、書類の山をただ片付けるだけだし、つまらないんだもん。もっとかっこいいものかと思ったのに……」
「そっか……思っていたより地味でつまらなかったんだね」
「そうなんだよ……でも、最近はペルセポネに会う為に頑張ってるんだよ?」
「お母様も話していたよ? 最近はお父様がきちんと仕事をして偉いって」
「それ、本当!? えへへ。デメテルちゃんに褒められちゃったっ!」
「ふふ。お父様は褒められるのが好きなんだね」
「えへへ。だって頑張ったのに誰からも褒められなかったら悲しいでしょ? 大人になると、できて当たり前で、誰からも褒められなくなっちゃうんだ」
「そうなんだね」
「ペルセポネもお父様を褒めてくれる? あ、ご褒美も欲しいなっ!」
「ん? ご褒美? 何か欲しい物があるの?」
「……あのね? ブラックドラゴンばっかりずるいんだよ! ずっと群馬で温泉三昧なんだよ? だから、お父様もヘスティアちゃん達と群馬で温泉に入りたいんだよね。一週間くらいパアッと行きたいんだよ! だから……ペルセポネが代わりに神の仕事をしてくれないかなぁ?」
「はあ!? わたしが神様の仕事をできるわけないでしょ!?」
「ふふふ。それができるんだなっ! ペルセポネはお父様の娘だから代理でできるんだよっ! 姉弟じゃダメなんだよぉ。ペルセポネェ……お願いだよぉ」
「無理! 絶対無理だから! 聞かなかった事にするから!」
「うぅ……ペルセポネェ……グレートシールをポンッて押すだけなんだよぉ。ね? 簡単だからぁ」
「グレートシール?」
「ああ、国璽って言えば分かるかな? 重要な書類にポンポン押せばいいんだよ? 簡単だからぁ。ね?」
「ダメダメ! 絶対ダメだから! 今はアカデミーで忙しいんだから!」
「うぅ……じゃぁ……一日だけでいいからぁ……アカデミーが休みの日に。ね?」
「ダメだから! 絶対ダメだから!」
あぁ……
また大変な事に巻き込まれそうな予感がするよ。