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えずいて出てきた物を食べるのってイヤだよね

「あぁ……ポセイドンは本当にアレだなぁ……」


 おじいちゃんまでどうかしたのかな?

 ん?

 え?

 何あれ?


 卵の殻がいつの間にか割れていたんだね……て、はあ!?

 桃が……

 桃が大きい。

 大きな桃がドンブランコした桃よりも絶対に大きいよ!

 桃の木じゃなくて巨大な桃がひとつ入っていたんだね。


「まさか……ポセイドンは『モモの木』を『モモ大きい』と聞き間違えたのかしら……あら? どこかで見たような光景だわ……」


 え?

 お母様?

 聞き間違い?

 でも確かに、大きい桃ではあるよね。


「……ポセイドンは本当に……アレだなぁ……」


 さすがの吉田のおじいちゃんも呆れているよ。


「……この桃はどうするんだ?」


 畑を耕していた雪あんねぇが巨大な桃を触りながら、お母様に話しかけているね。


「モモッ!」


 え?

『モモッ』?

 

「ちょっと待って!? 今、この桃が話したの!?」


 よく見たら口があるよ……

 こんなの食べられないよ。

 食べようとしたら悲鳴をあげそうで怖いよ。  

 断末魔の叫びなんて聞きたくないよ……


「おお! この桃、ヘソにある膨らみを押すと口から桃を吐き出すぞ!」


 雪あん姉!?

 何それ!?

 本当!?


「ヘソに膨らみがあるの?」


 確かに……

 ボタンみたいなスイッチが付いているけど……

 

「ぺるみも押してみろ! 口から小さい桃が出てくるぞ!」


 雪あん姉は楽しそうだね……


「う……うん。押すの……かな? こう?」


 おぉ……

『ポチ』とか『カチ』じゃなくて『グニュ』って感じだね。


「オエッ!」 


『オエ』!?

 さっきは『モモ』って叫んでいたのに……

 口から普通のサイズの桃が出てはきたけど……

 これ、食べるの?


「オエッ! モモッ! オエッ! オエッ! オエッ!」


 吉田のおじいちゃんがおもしろそうに何度もスイッチを押しているね。


「なるほどなぁ。ほぼ『オエ』で、時々『モモ』って叫ぶんだなぁ。これが噂の……」


 噂の?

 おじいちゃんが冷静に話しているけど、よく考えると気持ち悪いよね。


「あのさ……この口から出てきた桃……食べるの?」


 さすがに口から出てきた桃を食べるのは……

『オエ』ってえずいていたし。


「甘くて良い匂いの桃だな! どれどれ……なに!? 旨い! これは……すごいぞ!」


 雪あん姉!?

 食べたの!?

 ……大興奮だね。

 そんなにおいしいのかな?

 でも……『オエ』って口から出した桃だよね……


「そんなに旨いんか? どれ、じいちゃんも……! 旨っ! ぺるぺるもデメテルも食ってみろ!」


 うぅ……

 確かにおいしそうではあるけど……


「このモモは、あの時のオレンジ……そこまで言われたら……ひとくちだけ。……! おいしい……ペルセポネも食べてみて? こんなにおいしいモモは初めてよ? 天界のモモよりおいしいわ!」


 お母様まで大興奮だよ……

 でも、あの時のオレンジって?

 

「う……うん。……! なにこれ!? おいしすぎるよ! 果汁がたっぷりで桃の味が濃くてすごく甘いよ! ジュースを飲んでいるみたいだよ!」


 スイッチを押す手が止まらないよ!


「オエッ! オエッ! オエッ! オエッ! オエッ!」


「おいしいっ! おいしいね!」


 最高においしいよ!


「オエッ! オエッ! オエッ! オエッ! モモッ! オエッ!」


「旨いなぁ。旨い、旨い」


 吉田のおじいちゃんもずっとスイッチを押しているよ。

 やっぱり『モモ』って言う率は低いんだね。

 お母様も雪あん姉もおいしそうに食べているよ。


デメテルが話していたオレンジの物語は

379話、380話『遥か昔の天界でのお話~前後編~』に書かれています。

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