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やっぱりポセイドンは手がかかるんだね

「雪あんねぇ、お待たせ! あ、お母様、おはよう」


 いつの間にかお母様も第三地区に来ていたんだね。

 お母様は、遥か昔に雪あん姉とこの第三地区を豊かな土地にしたんだよね。

 すごく仲が良さそうだ。


「ペルセポネ、おはよう。よく眠れたかしら? ふふ」


「うさちゃんと一晩中、今までの事を話していたからずっと起きていたの。うさちゃんはベリアルのバスケットでお昼寝しているよ? あれ? お昼寝でいいのかな? まだ、朝の五時くらいだよね? 朝寝かな?」


「そうなのね……ハデスは?」


「ベットに入ったら一分くらいで眠っちゃったの。疲れていたみたいだよ?」


「一分!? ハデスったら……孫はまだ先になりそうね」


「ん? 孫?」


「ふふ。ペルセポネはかわいいわね。あら? どこかにモモの木が届いているはずなんだけど……」


「桃の木? 誰かが送ってくれたのかな?」


「それが……わたしが用意しようと思っていたら、ポセイドンに自分が用意するから何もしなくていいと言われてね。もう、嫌な予感しかしないわ?」


「ポセイドンが?」


「ええ……お母様は豊穣の女神だから、モモの木を創り出す事ができるの。この第三地区のミカンやリンゴも一年中実をつけているのは、お母様が創り出した物だからなのよ?」


「そうだったんだね。でも、ポセイドンは桃の木を創り出す事ができるの? 一応、海の神様なんだよね?」


「あぁ……あれでも一応海の神なのよね。ゼウスほどではないけれどポセイドンにも創造する力があるの。ただ……ポセイドンはアレだから……嫌な予感しかしないのよ」


 何度も『嫌な予感しかしない』って言っているね。

 前に、よほど大変な事があったのかな?


「デメテル……来たんか」


 吉田のおじいちゃんが卵を転がしながら持ってきているよ。

 まっすぐ進まなくて大変そうだね。

 あれ?

 さっき、おばあちゃんは普通に転がしていたような……?


「ヨシダさん? その巨大な卵は?」


 お母様が吉田のおじいちゃんに尋ねているよ。

 確かに気になるよね。

 天族の卵じゃないって事かな?


「あぁ……ポセイドンだろうなぁ。なんて言うか、ポセイドンはアレだからなぁ」


 吉田のおじいちゃんもポセイドンをアレだって言っているね。

 アレって何かな?


「……その卵を割らずにポセイドンに送り返すという選択肢はないのかしら」


「……泣いて駄々をこねるだろうなぁ」


「面倒だわ……」


「あの巨体で波打ち際に寝っ転がってジタバタされたら……じいちゃんとしては心が……虚しくなるなぁ……」


「わたしも姉として虚しくなるわ……」


「「はぁ……」」


 おじいちゃんとお母様のため息が重なったね。

 ポセイドンは、かなり手がかかるみたいだよ。


「仕方ないわね。じゃあ、さっさと卵から出して植えてしまいましょう?」


「そうだなぁ。卵の中身には不安しかねぇけどなぁ。ところで、ポセイドンは桃が木になる事は知ってるんか?」


「え? 確かに天界ではカットされてテーブルに並ぶし……でも、さすがに木になる事は知っているはずよ? 長く生きているし……知っているわよね? いや、でもあのポセイドンだし……いや、まさか……」


 ……もしかして、アレって……子供ですら知っているような事を知らないって事じゃないよね?


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