雪あん姉みたいにかっこいい女の子になりたいな
「お? ぺるみは早起きだなぁ。ベリアルと約束したクッキーを作りに来たんか?」
雪あん姉が起きてきたね。
今日も朝からかっこいいよ!
「うん。見て見て! こんなに大きい卵が流れ着いたの」
「おお! 巨大な目玉焼きができそうだな」
「中で形になっているから卵料理には使えないらしいの」
「そうか、残念だな。この中から出てくる生き物か。かなりのデカさだな」
「そうなんだよね。巨大なヒヨコちゃんだったら……ぐふふ。堪らないね、こりゃ」
「ぺるみは楽しそうだな……」
「あ、雪あん姉は畑仕事かな? 久しぶりにわたしもお手伝いしたいよ」
「そうか、じゃあ、お月ちゃんに『もんぺ』を借りてこい。畑で待ってるかなら」
「うん! やったぁ! 雪あん姉と畑仕事なんて最高だよ」
「ははは! そうか。今日は桃の木を植える場所を耕すぞ。昨日デメテルがベリアルの為に桃の木を植えたいと言ってたからな」
「ふふ。ベリアルに内緒にして植えて驚かそうとしていたみたいだね」
「ははは! ベリアルはかわいいからな。喜ばせてやりてぇんだろ」
「桃の木を見たら絶対喜ぶはずだよ。ぐふふ。想像しただけでニヤニヤが止まらないよ」
「……ぺるみは、強くなったな。初めて会った時とはずいぶん変わった」
「えへへ。そうかな? 雪あん姉みたいにかっこいい大人になりたいんだ」
「ぺるみはもう既にかっこいいぞ!」
「え? そうかな? 雪あん姉に言われるとすごく嬉しいよ」
「急がないとベリアルが起きてくるかもしれないな。よし、先に行くからな」
「うん! もんぺを借りたらすぐに行くね」
雪あん姉にかっこいいって言われちゃった。
嬉しいよ。
あとは一日も早く筋肉ムキムキにならないとだね。
ルゥの時は三食しっかり食べて運動もしていたから健康的な感じだったけど、ペルセポネの身体は細いからね。
やっぱり、ファルズフの薬が強かったからなのかな?
成長が他の天族よりも遅い感じがするんだよね。
細いといえば……
月海の時もルゥの時もそれなりにあった胸が……
ペルセポネは絶壁なんだよね……
これも薬をやめたから膨らんでくるのかな?
うーん。
お父様が群馬で『男は皆、胸が大きい方が好き』って言っていたけど……
他のおじいちゃんは……確か小さい方が好きって言う人もいたよね。
ハデスはどっちなのかな?
「ぷはっ!」
もう!
吉田のおじいちゃんは、またわたしの心の声を聞いたんだね?
「好みは人それぞれだからなぁ、ハデスちゃんが来たら訊いてみたらいい」
うん。
そうしてみるよ。
「天族は人間よりも少し身体がデカイからなぁ。ぺるぺるは身体が小さいから人間と同じくらいか……じいちゃんが薬を……あぁ……」
「おじいちゃん、謝らない約束だよ?」
「そうだったなぁ……」
「いっぱい食べて、いっぱい運動すればすぐに大きくなるよ? 雪あん姉みたいにムキムキのかっこいい女の子になるの!」
「そうか、そうか。ぺるぺるは今のままでも充分かっこいい女の子だぞ?」
「えへへ。ありがとう。じゃあ、雪あん姉と一緒に畑仕事をしてくるね?」
「そうか。気をつけてな」
「うん!」
クッキーも作り終わったし、あとは桃の木が植えられたら……
ぐふふ。
ベリアルの喜ぶ顔が目に浮かぶよ。
今度こそ『ぺるみ大ちゅき』って言ってもらえるかもね。