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また吉田のおじいちゃんを傷つけちゃったよ

 よし、クッキーが焼き終わるまでに使ったボウルとかを洗って……

 焼きあがったクッキーを重ねて、イチゴジャムをくり抜いた穴に入れたら……完成だ!

 うさちゃんは目が赤いから目の部分にイチゴジャムを少し乗せよう。

 おお、なかなかかわいくできたね。

 

 そういえば、ベリアルはまだ起きてこないね。

 匂いにつられて起きてくるかと思ったんだけど……

 ちょっと覗いてみようかな?


「おばあちゃん、ベリアルの部屋を覗きに……あ、吉田のおじいちゃん、おはよう」


 二人は朝から仲良しだよ。

 朝のお散歩をしていたんだね。

 まだ、四時半か……

 第三地区の皆もあと、三十分くらいで起きてきそうだね。

 おばあちゃんはずいぶん早起きだったんだね。

 あんなに早い時間から何をしていたんだろう?


「ぺるぺるはクッキー作りか」


「うん。ベリアルと約束したから」


 吉田のおじいちゃん……

 わたしの心の声が聞こえているよね?

 昨日、うさちゃんに遥か昔の事を聞いたの。

 おじいちゃんが、わたしの心の声を聞いてくれたみたいだね。

 表情が少し暗くなったよ。


「ベリアルはまだ寝てるみてぇだなあ。昨日は楽しそうな声がずっと聞こえてたからなぁ。もう少し寝かしてやろう。ばあちゃんは魚族に卵をもらってくるか。今日は、だし巻き卵にしようなぁ」


 おばあちゃんがボウルを持って卵をもらいに行こうとしているね。


「だし巻き卵!? おばあちゃんのだし巻き卵は世界一おいしいよ! ね? 吉田のおじいちゃん!」


「そうだ、そうだ。お月ちゃんの料理は世界一だからなぁ」


 おじいちゃんは、群馬にいた頃から『旨い旨い』って、おかわりして食べていたからね。


「二人は、だし巻き卵が好きだからなぁ。じゃあ、いっぱい作ろうなぁ」


 おばあちゃんが波打ち際に歩いて行ったね。


「ぺるぺる……」


「……うん。(心の声を聞いたんだよね? )昔の出来事をうさちゃんが教えてくれたの」


「じいちゃんは……勘違いしてたんだな。手元に置くべきなのはベリアルの方だったか」


「遥か昔の『おじいちゃんの息子さん』の、わたしの方の魂は……(心の声が聞こえる事を分かっていて、おじいちゃんに聞かれる心の声を変えていたみたいだね)」


「じいちゃんは、その心の声を信じてぺるぺるの魂を悪だって決めつけちまったのか……すまなかった……じいちゃんは愚かだなぁ」


「そんな事ないよ。おじいちゃん……この話はベリアルには絶対内緒にしようね?」


「ベリアルには耐えられねぇだろうからなぁ。そうしようなぁ……ぺるぺるは……どうしてじいちゃんを罵らねぇんだ? 嫌われて当然の事をしてきたのに……」


「嫌いになるはずがないよ。おじいちゃんは、いつでも、ずっとわたしを見守ってくれていたんだよ? それが分かっているのに罵ったりしたら、そんなのただの憂さ晴らしだよ。絶対にそんな事をしたらダメだよ」


「ぺるぺる……すまねぇ……本当に、すまなかった」


 おじいちゃんが、すごく辛そうな顔をしているね。


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