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肖像画を描こう(1)

「えへへ。執務室に飾るペルセポネの肖像画を描かせるからこの椅子に座ってね?」


 天界に行くとお父様が嬉しそうに椅子を用意してくれる。

 他の天族の皆は、一度それぞれの宮殿に帰ってから執務室に来てくれるらしい。

 ハデスはウリエルに用があるって言って会いに行ったけど。

 あの二人は仲良しなのかな?


「肖像画を描くの? 今から?」


「そうだよ。執務室に飾るんだ! えへへ」


 うーん。

 でも、前にヘラが幸せの島に乗り込んできた時に、ルゥの肖像画がヘラより大きく描かれて飾ってあるって怒っていたよね?

 ヘラの肖像画は……

 あの大きさか。

 あれより小さく描いてもらわないと。

 ヘラはお父様の正妻だからね。


「(お父様、あのね? 覚えているかな? 前にヘラが幸せの島に乗り込んできた時の事)」

 

「(え? 忘れるはず無いよ。あの時は大変だったんだよ? ヘスティアちゃんに縛られてポセイドンと一緒に火干しされてさぁ)」


「(ポセイドン? そういえば一度も会った事が無いよ?)」


「(ペルセポネは身体が弱かったからね。でも、どうして小声で話しているの?)」


「(誰にも聞かれないようにだよ? ヘラより小さめに描いて欲しいの)」


「(え? なんで?)」


「(女心だよ?)」


「(ヘラちゃんより大きく描いたら怒っちゃうかな?)」


「(たぶんね)」


「(……じゃあ、少しだけ小さく描いてもらおう)」


 お父様が察したみたいだね。


「えへへ。ペルセポネ。ずっとこうしてお話したかったんだよ?」


「田中のおじいちゃんとして、ずっと側にいてくれたよ?」


「でも……お父様って呼ばれると嬉しいから。えへへ。これからは毎日お父様って呼んでね?」


「うん。いっぱい心配させてごめんね? これからは、丈夫な身体で毎日親孝行するからね」


「ペルセポネ! お父様は嬉しいよ!」


 お父様が優しく抱きしめてくれる。


「う……」


「ペルセポネ!? どうしたの!? 苦しいの?」


 ベリアルを吸ってから一時間経ったのかな?

 やっぱりぬいぐるみじゃダメなんだ。

 

「ペルセポネ!? どうした!? 禁断症状か!?」


 執務室に入ってきたハデスが慌てて毛玉の姿になる。


「ありがとう……ハデス。スーハー」


 あぁ……

 毛玉姿のハデスのしっぽが嬉しそうに激しく揺れている。

 かわいいっ!

 スーハーが止まらないよ。


「では描き始めましょう」


 あれ?

 部屋に入ってきたのは……ウリエル?


「ウリエルが描くの? スーハー」


「はい」


 ウリエルは幼女の精巧なフィギアを作れるくらいだから絵も上手いんだね。

 

「発作が起きそうなの。ハデスを抱っこしていても平気? スーハー」


「はい。問題ありません」


 ……ウリエルは口数が少ないんだね。

 無表情だし必要な事しか話さないみたい。

 興味が無い事にはこんな感じなのかな?

 わたしが幼い頃は気づくと遠くから見つめられている事が多かったけど。

 あの時はすごくニヤニヤしていたよね。

 とても同じ人とは思えないね。

 スーハー……

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