今まであった事を一晩で話すのは時間が足りないよね
「……でも、その話から考えると……わたしの心は遥か昔は優しかったって事だよね? じゃあ、時々現れる人間を消したいと思う感情は誰の心なのかな?」
「ソレハ、ワカラナイガ……モトモト、ベリアルト、ペルセポネハ、ヒトツダッタカラナ。ベリアルノ、ハゲシイ、カンジョウガ、ノコッテイテモ、オカシクハ、ナイ。ソレニ、マゾクトシテ、サイキンマデ、スゴシテ、イタノナラ、ニンゲンハ、ショクリョウダ、トイウ、カンキョウ、ダッタノダロウ?」
「なるほど……言われてみれば、ハーピー族のママとか魚族とかが幼い頃から『人間は食べ物だから』みたいな事を言っているのを聞いていたからね。食糧である人間が面倒な事を言ってきたからイライラしたのかも」
「……ソコデ、ネテイル、ハデスガ、アカンボウノ、ペルセポネヲ、ソダテタンダロウ? ソレナラ、ソウカンガエテモ、フシギデハ、ナイダロウ」
「うさちゃんはハデスをそう思っていたんだね。ハデスは話し始めてすぐに眠っちゃったよね。疲れているのかな?」
「ソイツハ、ネムレル、ヨウニ、ナッタンダナ」
「うさちゃんも、その事を知っていたんだね」
「……ソイツノ、コトハ、キライダガ、ペルセポネヲ、タイセツニ、オモウノハ、コウカンガ、モテル」
「……やっぱり嫌いなんだね。冥界にいた頃から二人はこんな感じだったのかな? 知らなかったよ」
「ペルセポネハ、オレガ、テンカイデ、アカンボウノ、コロカラ、マモッテ、イタンダ。コンナヤツニ、カンタンニハ、クレテヤラン」
「……うさちゃんは頑固親父みたいだね。あ、天界で……ファルズフに刺された時、冥界にケルベロスを呼びに行ってくれたんだよね。ありがとう。あれから、ずっと海にいたんだね。ごめんなさい……」
「アヤマル、コトハ、ナイ。ペルセポネノ、タマシイノ、ケハイガ、キエタカラ、ネムリニ、ツイタ、ダケダ」
「わたしの魂は異世界に行ったから気配を感じなくなったんだね」
「ソウダッタノカ……ネムッテイル、アイダニ、イロイロ、アッタヨウダナ」
「うん。今わたしは人間のアカデミーに通っているの。あ、ベリアルはわたしと魂が同じだって知らないの。わたしだけが初代の神の息子さんの魂だって思っているんだよ。だから、うさちゃんもそう振る舞ってもらっていいかな?」
「……マダ、キヲ、ツカッテ、タイヘンナ、オモイヲ、シテイルンダナ」
「そんな事ないよ。わたしはベリアルが大好きだから悲しい思いをして欲しくないだけなの」
「ソウカ。ハナシヲ、アワセレバ、イインダナ」
「うさちゃんはどうして話せない振りをしていたの?」
「……オボエテ、イナイダロウガ、コエガ、ヒククテ、ハジメテアッタ、アカンボウノ、トキニ、ナカレタンダ。ソレカラ、ハナサナク、ナッタ」
「あ、なんか、ごめん」
「キニスルナ」
「……そろそろ寝ようか」
「ソウダナ。ア、イマノ、ペルセポネデハ、カンタンニ、チチオヤニ、ココロヲ、ヨマレルダロウ。アスノ、アサ、スグニ、スベテヲ、ハナスト、イイ」
「父親? 吉田のおじいちゃんの事だよね? そうだね。うさちゃん……これからは、穏やかに賑やかに楽しく暮らそうね。先天性の病気も解決したから、もう安心なの。でも、来年からはちゃんと冥界で一年の三分の一を過ごさないといけないんだ」
「……? オレガ、ネテイル、アイダニ、ナニガ、アッタ?」
「あぁ……それがね? ファルズフに刺された後にお母様がわたしの魂を異世界に……」
「ソンナコトガ……!」
「それから、ハデスが魔族のヴォジャノーイ族になって、そしたら……」
「ハデスガ、ヴォジャノーイオウニ、ナッタノカ!? ソレカラ……?」
「その後にね? わたしの魂が人間と魔族の世界に連れて来られて、異世界の身体の父親が魔王……」
「ナルホド、ソレデ、マゾクニ、ソダテラレタノカ。アトハ?」
「あとは……」
「ソンナコトマデ!? ソレカラ? オオ! ナント……」
これは……今夜は眠らせてもらえないね。