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お父様はいつも誰かに追いかけられているよね

「お父様? 付いてきているよね?」


 暗くて見えないから心配になっちゃうよ。


「……」


 あれ?

 返事が無いね。


「お父様? いるよね?」


「……」


「え? 嘘……まさか……お父様!? いないの!?」


 海の中で、はぐれちゃったの!?


「どうしよう! お父様がいないみたいだよ!?」


「あぁ……どうりで静かなわけだ」

「うるさくなくて助かったわ」

「いてもいなくても変わらないからどうでもいいわよね」

「そうだな。ゼウスはピーピー言うだけで役には立たないからな」

「ぷはっ! その通りだなぁ」

「かわいそうだけどその通りね」

「ぷはっ!」


 皆……

 そんな風に思っていたんだね。

 吉田のおじいちゃんはお父様の心の声が聞こえていたんだよね?

 どこかに置いてきちゃったのかな?

 

「仕方ねぇなぁ。今度は天ちゃんを捜しに行くか」


「おじいちゃん……お父様は安全な場所にいるかな? 怪我していないかな?」


「ぺるぺるは優しいなぁ。天ちゃんはあんなろくでもねぇ奴……これじゃあ悪口か……うーん。あんなのでも一応神様だからな、大丈夫だぞ?」


 あんなの……

 

「だったらいいけど……一人で泣いているかも。心配だよ」


「そうか、そうか。ぺるぺるは優しいなぁ。ん? 何かがすごい勢いで近づいてくるなぁ」


「え? もしかして深海魚とか?」


「んん? ……!? 天ちゃん……!」


「え? 何? お父様がどうかしたの?」


「天ちゃん! こっちに来るな! ぶつかる!」


「え? おじいちゃん? どうしたの?」


「うわあぁぁん! 助けてよぉ! 誰かあぁぁ!」


 お父様の声!?

 暗くて何も見えないよ。

 でも声が近づいてくるのが分かるよ。


「お父様!? どうかしたの!? わたし達はここにいるよ!」


 聞こえたかな?


「ペルセポネェ! 助けてよぉ! よく見えないけど噛まれそうなんだよぉ!」


 ええ!?

 噛まれそう!?


「どうしよう! 早く助けないと!」


「うわあぁぁん! 早く助けてよぉ!」


 大変だよ。

 どうにかして助けないと。

 でも暗くて何も見えないよ。


「本当にバカね」

「ゼウスにも困ったものだな」


 ヘラとハデスの声が聞こえてきたけど、心配しているっていうよりは呆れている感じだよ?


「おーい! 天ちゃん、空間移動しろぉ! 天ちゃんが強い天族だから噛もうとしてるんだ」


 あ、おじいちゃんの言う通りだね。

 わたし達は空間移動ができるから天界に逃げちゃえばいいんだよ。


「そうだった! 先に帰ってるからね!」


 おお!

 空間移動の光で海の中が明るくなったよ……え?

 ……!?

 これは……


「うわあぁ! すごい大きい魚だね」

 

「そうだなぁ。巨大な蛇みてぇだなぁ。あぁ……これは魔族だなぁ」


 吉田のおじいちゃんには分かるんだね。


「え? 魔族? 深海魚じゃないんだね」


「ぺるぺるに会いに来たんだなぁ。その途中で天ちゃんを見つけて襲ったんだろう」


「え? わたしに?」


「魔族は皆ぺるぺるの事が好きなんだ。そっちの『理』はちゃんと残ってるんだなぁ」


「そうなんだね。初めまして。わたしに会いに来てくれたの? 嬉しいよ。ありがとう」


「……」


 話せないのかな?

 でも、ヒレでわたしを撫でてくれているね。


「ふふ。くすぐったい。でも嬉しいよ。ありがとう」


「……」


 あ、暗くなって見えなくなっちゃった。

 残念だな……


「え?」


 海の中が明るくなった?

 誰かが空間移動するのかな?

 それともおじいちゃんが照らしてくれているとか?


「そうか、そうか。ぺるぺる、この明かりはこの蛇みてぇなのがやってるみてぇだなぁ」


 おじいちゃんはこの子の声を聞いてくれたのかな?



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