人間の犯した過ち(2)
今回は『吉田のおじいちゃん』でもある『初代の神』が主役です。
ぺるぺるが……ペルセポネが産まれ、じいちゃんが息子の魂を入れ込むと、うさちゃんは聖獣の姿に戻りかわいいモフモフとしてぺるぺるを守り続けたんだ。
しばらくして、ぺるぺるがファルズフに刺された事に驚いたうさちゃんは冥界に行き、ケルベロスに助けを求めようとしたんだろうなぁ。
ケルベロスは薬草に詳しいから助けられると思ったんだろう。
でも、冥界の門の外に着くと『魔族と人間の世界』に繋がる穴に落ちちまったんだ。
そして……
天界でぺるぺるの気配が消えた事を感じて、そのまま海で長い眠りについた。
今でもまだその場所で眠り続けてるんだ。
話が終わったら、うさちゃんを助けに行こうなぁ。
うさちゃんは、深い眠りについているからぺるぺるが蘇った事に気づいてねぇんだろう。
さて……話を戻すか。
四大国は遥か昔から他の国より力を持っていた。
その頃の四大国の四人の王は何とかして聖女を蘇らせ、結婚して子を産ませようと考えたんだ。
聖女は美しかったからなぁ。
恋心もあったんだろうけどなぁ。
聖女を蘇らせ子を産ませれば四大国の頂点に立てる。
そう思ったんだろう。
そして、王達は何代にも渡り聖女を蘇らせようとしたんだ。
でも、やり方を変えようが何をしようが聖女は蘇らなかった。
抜け駆けをさせない為に一年に一度だけ四大国の王が集まりそれぞれの考えた方法を聖女の眠る洞窟で試したんだ。
神官の力の込められた棺を開けると腐敗するかと考えて蓋を閉じたままだったけどなぁ。
そんな事を続けていたある時、リコリス王国の王が一人で勝手に洞窟に行っちまったんだ。
そして……見ちまった。
棺を開けると、聖女の身体が腐り始めていたんだ。
ずいぶん前に神官の力が切れていたんだろうなぁ。
でも、棺は開けちゃぁダメな決まりになっていたし、一年に一度皆で集まって行くのも無視しちまったからなぁ。
誰にも言えずにリコリス王は困り果てていたんだ。
いくら蘇らせても、身体が腐っていたらなぁ……
それからは、リコリス王だけが代々その秘密を受け継いでいったんだ。
そして……ついに恐ろしい事を考えついた王が出てきた。
『聖女の肉を持ってきて、それを使って新たに肉体を作り出せばいいんじゃねぇか』ってな。
リコリス王はこっそり聖女の眠る洞窟に行って棺を開けたんだ。
本当だったらもう骨になったりしたんだろうけど、神官の力のせいかまだ腐らない部分が残ってたんだ。
しかも、悪い事にその部分に神官の力が大量に付いていてなぁ。
かなりの神力があったんだ。
リコリス王は……美しい子を市井から拐ってきては危ない事をしたんだ。
その頃はまだ、天界を追放された堕天使達が、魔族と人間の世界にいたからなぁ。
そいつらに頼んで拐ってきた子に神力を入れ込もうとしたんだ。
でも、そんな事はなかなか難しくてなぁ。
多くの罪の無い子供達が命を奪われたんだ。
そんなある日、銀の髪に青い瞳の子が拐われてきたんだ。
その容姿なら、じいちゃんの息子の子孫なんだろうなぁ。
その子には産まれ持っての神力があったんだ。
堕天使は、聖女の肉と聖女に付いていた神力を入れ込むと……その子の成長は止まっちまったんだ。