ついに二代前の聖女の真実を話してもらえるんだね
「ぐふふ。ぐふふふ。ベリアルが激かわだよ」
「あらあら、ペルセポネはベリアルとゲイザー族を盗み見しているのね」
お父様の執務室で、お母様が少し呆れているね。
まあ、確かに神様の娘がヒヨコちゃんを水晶で盗み見しながらニヤニヤしていたら呆れちゃうよね。
「うん! ベリアルがゲイザー族に絵本を読み聞かせているんだよ。堪らないね。興奮が止まらないよ。ぐふふ」
「何の絵本かしら?」
「うーん。よく聞こえないんだよね。あ、もしかして少し前にプレゼントした『ヒヨコちゃん絵姿集、ちょっとエッチバージョン』だったりして!」
「あぁ……それは無いと思うわ。あの絵姿集は見ないからっておばあさんに渡していたから」
「ええ!? お年頃の男の子が喜びそうな絵姿集を作ってもらったのに!」
「ふふ。そういう知識はあるのね。ねぇ、ペルセポネ? 今はゼウスもハデスもウリエルに会いに行っているから……」
「ん? 何?」
「ハデスは真面目というか……ずっとルゥの『じいじ』として暮らしてきたから、なかなかそういう事ができないっていうか」
「そういう事?」
「ペルセポネ……赤ん坊がどうやってお腹に入るのか知りたがっていたわね。母親としてそれを教えようと思ってね。本来だったら婚姻前に教えるものだけれど……ペルセポネはハデスに冥界に拐われてしまったから、その時間が無くて……あ、ハデスを責めているわけではないのよ? ただ……ゼウスが妙な教え方をする前にお母様からきちんと教えた方がいいと思ったの」
「……? 妙な教え方?」
「ゼウスはアレだから……ペルセポネは毎日ハデスと一緒に寝ているでしょう?」
「うん! モフモフの姿になってくれるの。すごくかわいいんだよ」
「そうね。でも……それだと赤ん坊は来ないのよ?」
「……? どうして?」
「そうねぇ、まずペルセポネは……」
「ぺるぺるは? 何をするんだ?」
ん?
この声は……
「吉田のおじいちゃん! 来てたんだね」
「そうだぞ。じいちゃんが来たぞ! ははは!」
「もう第三地区の皆もおじいちゃんが天族だって分かったから安心して来られるね」
「そうだなぁ。でも、今はこっそり来ちゃった。てへっ」
「こっそり? なんで?」
「んん……ぺるぺるの知りてぇ事をベリアルに内緒で教える為……かな?」
「ベリアルには聞かれたくないの?」
「うーん……ベリアルの精神状態だと……また記憶を操作する事になりそうだからなぁ」
「……もしかして、吉田のおじいちゃんの息子さんの事?」
「そうだなぁ。あとは……聖女……か……」
「聖女? 遥か昔に神官の神聖力で保存された聖女?」
「そうだぞ? ぺるぺるは全部お見通しか……」
おじいちゃんはわたしがゴンザレスから色々聞いている事を知っているよね?
今もわたしの心の声が聞こえているはずだよね?
「ヨシダさん……その聖女の事はわたしも知っているわ。もしかしたらペルセポネの魂が入れるかもと遥か昔に見に行ったの。でも、もう身体は腐敗していたわ。その聖女は……ヨシダさんの……」
お母様が辛そうに話しているね。
人間と魔族の世界で神聖力を持つ人間は吉田のおじいちゃんの息子さんの子孫だから……
おじいちゃんにとっても子孫なんだよね。
「……ちょうど、天ちゃんとハデスちゃんが帰ってきたな。ヘスティアとヘラも呼んであるからすぐに来るだろう」
すごく深刻な顔だね。
大切な話なのは見て分かるけど……
聞くのが……少し怖いよ。