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ベリアルがわたしを大好きなんて……堪らないね

(ぺるみ様……そんな事を……聖女様のお身体はぺるみ様のお陰で生きられたのです。どうかご自分を責めないでください)


 ゴンザレス、ありがとう。

 心配させてごめんね。

 あ……そうだ。

 ゴンザレスは魂が無い胎児がルゥ以外にもいた事を知っているのかな?

 ずっと長い時間を生きてきたから何人も見てきたのかな?


(魂が無い胎児ですか? そうですねぇ……胎児の心は聞こえてきませんからね)


 前から思っていたんだけど、胎児のうちからどうして魂が無いって分かるのかな?


(あぁ……それは、天族だからですかね?)


 天族だから?


(でも……魔族でも分かる者もいますね)


 ……?

 それってどういう?


(うーん。詳しくは分からないのですが……魂の気配? そんな感じでしょうか?)


 魂の気配……

 言われてみればママのお腹にいたハーピーちゃんは産まれる前から強そうな気配がしたね。


(そんな感じでしょうか? オレにはよく分かりません。種族王くらい強ければ分かるのかもしれませんね)


 そうなんだね……

 

(ぺるみ様、そろそろベリアルが帰ってきますよ? デッドネットル王に見つかってお菓子を大量にもらってご機嫌ですね。ちなみにデッドネットル王はベリアルをスーハースーハーしていましたよ)


 ……!?

 ご機嫌なベリアル!?

 ぐふふ。

 最高だね。

 デッドネットル王はスーハーしていたのか……

 

(……なるほど)


 え?

 どうしたの?


(あぁ、はい。ベリアルはぺるみ様が好みそうなお菓子をもらったから早く食べさせてあげたいと考えていますね)


 ええ!?

 ベリアルが!?

 何かの間違いじゃない?

 

(いいえ。ベリアルは先程もぺるみ様の好きそうなクッキーを見つけて、食べて欲しくてあのような悪態をついたのですよ? ほら、おばあ様の手作りクッキーの時の事です)


 え?

 そうなの?

 なんて優しい……


(ベリアルはぺるみ様をす……)


「うわあぁ! 眩しい!」


 おじいちゃまが目を痛がって叫んでいるね。

 眩しくて目が開けられないよ。

 って、おじいちゃまはベリアルとシャムロックに帰ったんじゃなかった?

 

(あぁ……ベリアルがぺるみ様にクッキーを渡したくて、シャムロックに行く前にこちらに来たようですね。船はまだデッドネットルに置いたままです)


 え?

 わたしの為に?


「えへへ、お菓子をいっぱいもらったんだ。ほら、ぺるみの好きなイチゴジャムの乗ったクッキーだぞ? 特別にひとつあげるからな」


 まだ眩しくて目が開けられないけど……


「ありがとう。ヒヨコちゃんの分もある?」


「イチゴのはひとつしかないけど、最近ぺるみは頑張ってるからな。特別だ」

 

 ……!

 特別だ……

 ぺるみの好きなイチゴジャム……

 ぺるみは特別だ……

 ぺるみは特別に好きだ……

 ぺるみを世界一大好きだ!


 ぐふふ。

 ぐふふふ。


「そんな……『世界一大好きだ』なんて……ぐふふ。堪らないね、こりゃ」


「……は? お前……また頭の中でいいように解釈したな。気持ち悪……」


「え? 言っていたよ? ね? 言っていたよね? 皆も聞いたよね?」


「言ってないんだよ! どこまで都合良くできてるんだ、お前の頭は! ほら、クッキーを食べて黙ってろ!」


「あ、目が開けられたね。待って、ひとつしかないなら『はんぶんこ』しよう? ヒヨコちゃんもイチゴジャムのクッキー大好きでしょ? はい、はんぶんこ」


「……はんぶんこか。えへへ。本当はオレも食べたかったんだ。サクッ! うまぁぁい!」

 

「そうだね。はんぶんこだとすごくおいしいよね」


 ベリアルは大好きなイチゴジャムクッキーをわたしに食べさせようとしてくれたんだね。

 口では『変態』とか言うけど本当はすごく心配してくれているのかも。

 ぐふふ。

 激かわだよ!

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