わたしの話は怖くなんてないよ?
「モグモグ……ん? いいぞ? モグモグ、これを食べたら連れて行ってやるぞ。でも、船は置いて行くのか?」
ぐふふ。
ベリアルは超絶かわいいね。
「ヒヨコ様、船はデッドネットルに置いてあるのです。陛下にお願いして後でシャムロックまで運んでいただく事になっているのです」
おばあ様はデッドネットル王と、しっかり打ち合わせをしていたんだね。
「うぅ……デッドネットル王の裏切り者めぇ」
なるほど。
デッドネットル王に協力してもらっておじいちゃまを捕まえたんだね。
「おじいちゃまはデッドネットル王と仲がいいの? 友達なのかな?」
デッドネットル王は性格が悪いけど、この子供みたいなおじいちゃまと仲良しなのかな?
「昔、デッドネットル王の船が故障したところに偶然おじいちゃまの船が通りかかったんだよ。その時に仲良くなったんだ。でも……裏切られたよぉ。ペリドットォ……抱きしめて慰めてよぉ。うぅ……」
「バカな事を言わないの! ごめんなさいね。このバカは放っておいて? 散々お世話になっている陛下の悪口を言わないの!」
「うわあぁん!」
おじいちゃまは王様なんだよね?
おばあ様の方が王様に見えるよ。
「モグモグ……よし。満腹だ! じいちゃん、連れて行ってやるからな。ぺるみはじいちゃんに内部から爆発する術をかけたのか?」
くぅぅ!
ベリアルは激かわだよ!
「まだかけていないよ? 逃げ出しちゃったら内部から飛び散った✕✕で部屋中血まみれの上に✕✕がグチャグチャでドロドロになっちゃうからね」
「そうだな。掃除が大変だ。特に臭いはいつまでも消えないからな」
臭い?
ハデスは何人も殺しているから詳しいんだね。
「さすが『じいじ』は物知りだね。臭いまでは考えなかったよ」
「殺した後はきちんと後始末をしないとな」
「うん! 気をつける!」
「この二人は似た者夫婦だな……怖……」
ん?
ベリアルが似た者夫婦って言ったね。
えへへ。
褒め言葉かな?
(ですが、ぺるみ様? ハデス様はリコリス王国の牢で明らかに闇の力で殺害された死体を放置しましたよね?)
ゴンザレス……
確かにその通りだね。
(普段はハーピーの息子に後始末をさせていますけど、あの時は満腹だったみたいですし。だから放置したのでしょうね)
ハーピーちゃんに後始末を?
うぅ……
聞きたくなかったよ。
「ペリドット……絶対におじいちゃまは逃げないから……絶対にその術をかけないでね。絶対だよ? うぅ……皆怖いよぉ……ぐすん」
……?
おじいちゃまが泣いているね。
どうしたのかな?
「おじいちゃまはどうして泣いているの?」
「お前の話が怖いからだろ! ✕✕が飛び散るとか怖過ぎなんだよ!」
ベリアル?
元堕天使だったのに、本当にかわいいんだから。
でも、今は先代の神であるブラックドラゴンのおじいちゃんが創ったヒヨコちゃんの身体なんだよね。
内臓ってどうなっているのかな?
鳥は『そのう』に食べた物が入るのにベリアルには胃があるみたいなんだよね。
あれ?
胃もあるけど『そのう』もあるんだっけ?
「うーん。ねぇ、ヒヨコちゃんの内臓ってどうなっているのかな?」
「え?」
「だって『そのう』じゃなくてお腹がパンパンになるでしょう? ほら、今も……」
「……!? お前……まさかオレの腹の中を見たいって言うんじゃ……」
「え? 見せてくれるの?」
ベリアルなら内臓も絶対にかわいいはずだよ。
心臓がピンクのハートだったりして!
ぐふふ。