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おじいちゃまはおばあ様がクマポイを素手で倒した事を知らなかったんだね

「全員揃ったわね。ではティータイムにしましょうか。まさかこんな日が来るなんて……あの子達が生きていたら喜んだでしょうね」


 おばあ様が涙目になっているね。

 

「カサブランカちゃん……そうだな。あの子達は今でもきっと子供達を見守っているはずだ」


 おじいちゃまがまともな事を言っているね。


「そうね。ココちゃんは……ヘリオスと末永く幸せに暮らしてね?」


「はい。お母様」


 ココちゃんが少し恥ずかしそうにおばあ様に話しているね。


「おばあ様……船旅に出られるのですね。寂しくなります」


 お兄様がココちゃんの隣に座りながら話し始めたね。


「船旅の途中でリコリスの近くに来たら、わたしに会いに来てください。必ずですよ? その頃には……ココが王妃になっているかもしれませんね」


「ふふ。ヘリオスは甘えん坊さんね。ココちゃんとヘリオスならきっと幸せになれるわ? ペリドットちゃんと前王様はずっと仲良しで安心したし、あとはレオンハルトね。素敵な恋人はいないのかしら?」


「おば……おばあ様! あの……それは……今は王妃を討つ事で手一杯ですから……」


「そうなのね……全て終わればレオンハルトはプルメリアの王太子になるのね。素敵な王太子妃が見つかればいいけれど。そうだわ、アカデミーで見つけてみてはどう?」


「いえ……今はまだ……もう少し落ち着いたらにします。おばあ様……その話は恥ずかしいです」


「まぁまぁ、恥ずかしいのね。ふふ。レオンハルトはかわいいわね」


 穏やかだね。

 まさか人間とこんな風に過ごす時がくるなんて。

 世界の補正力はそれほど強くはないのかな?

 わたしは人間をどんどん好きになっていくのに、止めに入らないんだ。


「ペリドットちゃんは『四大国のアカデミー魔術科対抗魔術戦』に出場するのね。今は戦いというよりは力を魅せる物になったから安心だわ? 二ヶ月後にはアカデミーを辞めてしまうのね」


「おばあ様……うん。そうなの。でも、市場には時々出入りするつもりだし、またおばあ様に会いに来てもいいかな?」


「もちろんよ。おばあ様は、レオンハルトの件が落ち着いたら船旅に出るから、まだしばらくはこのタウンハウスにいるつもりよ? おじい様はシャムロックに戻るけれどね」


「え? 嫌だよぉ! 一緒にタウンハウスに残りたいよぉ!」


 おじいちゃまは子供みたいだね。


「ぶざけないで! 王が不在の国がどれだけ大変だと思うの!? 今すぐ帰って王位を退いてきなさい!」


「うぅ……」


「『うぅ』じゃないの! 今まで好き放題遊んできたのだから……さっさと行ってきなさい!」


「うわあぁん! カサブランカちゃんが怖いよぉ! 昔はかわいかったのに……ぐすん」


「おじいちゃま……知らないの? おばあ様は子供の頃クマポイっていう魔族? を一撃で倒したらしいよ?」


 知っていたら『昔はかわいかった』なんて恐ろしい事は言わないよね。


「え? 何それ?」


 やっぱり知らなかったんだね。


「おばあ様は騎士団長の子供だから小さい頃から鍛えていたんじゃないかな? 素手で倒したって聞いたよ?」


「素手!? 素手……えっと……カサブランカちゃんは……今でも……強いのかな?」


「ふふふ。毎日身体は鍛えているわよ? あなたをやる為にね!」


「『やる』の『やる』は『()る』じゃないよね?」


「ふふふ。さぁ、どうかしらね」


「……さてと。おじいちゃまはシャムロックに戻って引き継ぎをしないと……ヒヨコちゃん、送ってくれるかな?」


 おじいちゃまは逃げるつもりだね。

 ……お父様とヘラも前に同じような事があったよね。

 お父様はヘラが腕を振っただけで島を割って以来かなり大人しくなったけど、おじいちゃまもそうなるのかな?

 

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