おじいちゃまとハデスには気をつけないといけないね
「父上が……? それは無理かと……」
レオンハルトの父親は王妃の父親の言いなりなんだね。
優しいとは違うんじゃないかな?
「王妃は実子の親になる事も拒否したんだよ? 国母の座にいられるはずがないよ。今回は王様にも協力してもらわないとね。そうじゃないと、レオンハルトが王妃を討った後に王様の居場所が無くなっちゃうでしょ? というよりは、もっと早く王様が解決しないといけなかったんだよ? お兄さんの母親が毒殺された時にね」
「ペリドット……」
レオンハルトが辛そうな顔をしているね。
「お母さんが亡くなって、辛いのはレオンハルトだけじゃないんだよ? おばあ様もおじいちゃまも辛いんだよ。毒殺された時もプルメリアに乗り込みたかったはずだよ? でもそれをしなかったのはレオンハルトの為なんじゃないかな?」
「プルメリアに乗り込む……?」
「そうだよ? おじいちゃまはココちゃんのおばあさんを助ける為に大国に乗り込んだし、おばあ様は魔族が争っている幸せの島にわたしを助ける為に乗り込んだの。大切な娘さんの為に乗り込まないはずがないでしょ?」
「わたしの為に……我慢した?」
「母親を喪ったレオンハルトから母国まで奪わない為にね? もし、確かな証拠も無いのに乗り込んで王妃を討ったらもうプルメリアにはいられなくなっていたはずだからね。下手すれば罪人としてレオンハルトごと公開処刑だよ?」
「おばあ様……おじい様。わたしの為に我慢をしていたのですか?」
「レオンハルトはあの子によく似ているわ? 優しくて、穏やかで。でもやる時はやる子よ? おばあ様と幸せの島に乗り込んだ時の事を覚えているかしら? あの時、おばあ様達を船に残らせて自分は小舟で幸せの島に乗り込もうとしたでしょう?」
おばあ様が涙を流しながらレオンハルトに話しかけているけど……
あの時、そんな事があったんだね。
「それは高齢のおばあ様を守りたくて……」
「レオンハルト……おばあ様はあなたを愛しているわ? 一人では行かせない。共にプルメリアに乗り込みましょう! 今こそ仇を討つ時よ」
「おじいちゃまもレオを愛しているよ。よし、ふふふ。実はデッドネットル王と、おじいちゃまの船を改造したんだ! 今こそ威力を試す時だ!」
おじいちゃまもおばあ様もやる気がすごいね。
「あぁ……待って、今じゃないよ? お兄さんを二日以内に救い出すから、そのもっと後だよ? まだその時じゃないからね? いい? 行動を起こす時には根回しが必要なの」
「根回し? あの大砲があれば一撃なのにぃ!」
おじいちゃまは大砲を撃ちたいだけじゃないよね?
「レオンハルトもおばあ様達も処刑されない為には準備が必要なの。そうだね……例えば神殿に協力してもらって、皆の安全を確保……」
「嫌だ嫌だ! 今すぐ大砲を撃つんだぁ!」
おじいちゃま……
ハデスよりも危険だよ。
「今すぐわたしが乗り込んだ方が早い……か。皆殺しにすれば済む話だ。一分で王妃とその親を消してやろう。誰にも、ばれないように暗殺すれば……」
いや、やっぱりハデスが一番危険だね。
でも、天族は必要以上に人間と関わったらダメだからね……
はぁ……
気をつけて見張らないと、プルメリアが大変な事になっちゃうよ。