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人間に優しくするハデスをまた好きになる

「お前は一人ではない。忘れるな。お前にはたくさんの家族がいるのだ。分かるな?」


 ハデスが優しく微笑んでいるね。

 人間相手に珍しいよ。


「家族……? 兄と妹……ですか?」


 レオンハルトがハデスに尋ねているね。


「おばあさん、おじいさん。ココとペリドットとヘリオスも……そしてわたしも家族なのだ。困った時には助け合うのが家族だろう? 一人で抱え込む必要はない」


「……! はい……はい……あの……ありがとうございます……家族……すごく嬉しいです。わたしはリコリス王国で力をつけて国に戻り王妃を討ちます」


「兄はきちんとした治療を受けているのか?」


「いえ。王妃が手を回して完全に隔離して……この事は一部の者しか知らないのです」


「なるほど。兄を一刻も早く連れ出す必要があるな。心の病にはきちんとした治療が必要なのだ」


「きちんとした治療?」


「……もしも、兄が王になりたいと言ったら……どうするつもりだ?」


「え? それは……」


「命を奪い王になるか?」


「……それは」


「王になるという事はそういう事だ。邪魔者を排除しておかねば、あとでこちらがやられる事になる。覚悟だけはしておくのだ」


「覚悟……わたしが兄を……?」


「優しいだけでは王にはなれない。父親を見てきたお前ならば分かるだろう」


「……それは……その通りですが……」


「それでも兄を救いたいか?」


「……はい。わたしは……兄の心が壊れていくのに……見ている事しかできなくて……今度こそ助けたいのです。母上が側室だった頃は、まだ兄のお母上が王妃様で……その頃の兄は優しくて笑顔が素敵で……そんな兄に戻って欲しいのです」


「心の病にはのんびりと向き合わねばならない。焦りは禁物だ。本人が一番焦っているのだからな。周りは見守る事しかできない歯がゆさに打ちのめされるであろう。だから、ゆっくり進んでいくのだ。一歩進んでは一歩戻る……そんな日々を焦らずゆっくりとな」


 ハデス……

 わたしが心を痛めていた時……そんな風に考えながら寄り添ってくれていたんだね。

 

「なんとか……兄の命を奪わずに王になれる道を考えてみます。甘いと言われるかもしれませんが……わたしは弟も討つ事になるはずです。兄まで討ちたくはないのです」


「そうか。まだ先の事だ。今は力をつけ王妃を討つ事に集中するのだ。王妃は最大のミスを犯した事にまだ気づいていないようだな」


「え? それは?」


「邪魔な王子を追い払う場合、力のある国に追放してはいけない、という事だ」


「力のある国に? それはなぜですか?」


「追い払った先の国王が、王子を次期王にする為に力を貸したら? その王子を陰から操るのは簡単な事だ」


「……! 確かに……」


「ヘリオスは陰から操ろうとは考えてはいないだろう。借りられる力は全て借りればよい。だが、それは信頼できる者からだけだ。あとになりあの時の恩を返せと言うような愚か者からは力を借りてはならない。分かるな?」


「はい! きちんと見極めます!」


 おぉ……

 ハデスが先生みたいになっているよ。

 普段は皆から怖がられているけど、兄妹とかが絡んでくるとすごく優しいんだよね。

 ハデス自身も姉弟が大切だからかな?

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