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おじいちゃまは、かなり手がかかるんだね

「……そうか」


 おじいちゃまが辛そうな顔をしているね。


「おじいちゃま、わたしね? おじいちゃまがいるって知ってすごく嬉しかったんだよ? 今日会えるのもすごくすごく楽しみにしていたの。おじいちゃまは爆弾があるのを知りながらアカデミーに助けに来てくれたよね? ありがとう」

 

「ペリドット……」


「お母様は……命がけでお兄様とわたしを産んでくれたの。そして、魔族は命がけでわたしを守って育ててくれたの」


「魔族が……?」


「わたしは、すごく幸せだよ? でも……おばあ様はおじいちゃまがいないシャムロックで苦労しているみたいなの」


「カサブランカちゃんが苦労を?」


「『王様がいない国』を子供を抱えて守ってきたんだよ? その上、わたしを捜す為に苦労をかけたの。申し訳なくて……だから、わたしはおばあ様の味方をするよ?」


「ペリドット?」


「おばあ様、おじいちゃまに王様を辞める術をかけようか? 辞めないと内部から爆発しちゃうの!」


「ええ!? 怖っ! イヤだよぉ!」


「そうねぇ。無理矢理辞めさせるとグズグズ言いそうだから、本人が辞める決心がつくまで待つわ? 本当は内部から爆発する術をかけて欲しいのよ? ふふふ」


 おばあ様は、おじいちゃまが辞める気持ちになるのを待っているんだね。

 殴ったり縄で縛ったりはするけど大切に想っているんだね。


「カサブランカちゃん!? うぅ……じゃあ……船と……お金が欲しいな……そしたら、王様を辞めてもいいよ?」


「……ペリドットちゃん? やっぱり……このバカに術をかけてくれるかしら? 術じゃなくて、呪いでも良いわ?」


「ええ!? カサブランカちゃん!? ごめん、ごめん! 怒らないでよ! 内部から爆発なんてイヤだよぉ!」


「あの船はシャムロックの船なの! あなたの物ではないのよ? お金も民からの税金なの。王なら何をしても赦されるわけではないのよ?」


「うぅ……でも……海に出たいんだよぉ」


「では、わたしが船を用意しよう。もちろん人間用の物だ。それから船旅の費用も全額出そう。これなら、どうだ?」


 え?

 ハデス?


「前王様……それはいけません。このバカは、すぐにつけあがるのです」


 おばあ様……

 もしかして、おじいちゃまの事が嫌いなのかな?


「それならば、おばあさんが側に付いていればいい。今まではシャムロックを守る為に自分の時間など無かったはずだ。子育ては大変だからな。わたしもルゥの『じいじ』として過ごしてきたから良く分かる。これからは二人で……いや、ペリドットを捜していた者達と共にのんびり世界旅行をしてはどうだ? 海ならばヴォジャノーイ族が安全に船旅ができるように守れるからな」


「ヴォジャノーイ族の皆様が?」


「ああ、ヴォジャノーイ族はペリドットを大切に想っているからな。喜んで守るだろう。これは、わたしからの退位の贈り物だ。時々は幸せの島にも遊びに来て欲しい。どうだ? シャムロックの王よ」


「……内部から爆発は? しない?」


「王位を譲るならしないだろうな」


「うーん……じゃあ、退位する! カサブランカちゃんと船旅なんて最高だよ! あ、そうだ! 公爵も一緒に行かないか? 皆で一緒に姉上に会いに行こう! 絶対に楽しいよ!」


 おじいちゃまは、おばあ様の言う通り子供みたいだね。

 でも……

 下位精霊がおじいちゃまの肩にいるって事は優しい人間って事なんだよね?

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