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懐かしい話に心が温かくなる

「それならお父様、海賊の島に行きませんか? ばあちゃんはすごく元気に暮らしていますよ?」


 え?

 ココちゃん!?

 公爵もレオンハルト達もいるのに話していいの?


「『ばあちゃん』? えっと、海賊の島とは?」


 やっぱり、おじいちゃまは詳しい話を聞いていないんだね。


「ペリドットも本当の事を話してくれたのにわたしだけ嘘をつくなんて嫌ですから。それに、王族の血を引いているのは事実ですし、養子だと知られても構いません」


 ……言わなかったって事は、六歳年をごまかしている事は秘密なのかな?

 そこには触れないでおこう。


「ココ? お父ちゃまにも分かるように話してくれるか?」


「はい。わたしはお父様の姉の孫なのです。ばあちゃんは海賊の島で父ちゃんと海賊仲間と賑やかに暮らしていますよ?」


「姉上……そうか。姉上の孫……あぁ……そうか。ココ……姉上は幸せに暮らしているのか?」


「はい。毎日海賊仲間や父ちゃんをしっかりと見張っていますよ? ばあちゃんは厳しいから、皆規律正しく暮らしています」


「そうか。姉上は昔も厳しく……そして優しかった」


 おじいちゃまが悲しそうな、懐かしそうな顔でココちゃんを見つめているね。

 本当はわたしもココちゃんのおばあさんの孫だけど……

 この事は絶対に隠し通さないといけないね。


「もし……お父様が船旅をしたいのならば、海賊の島で過ごしてみてはいかがですか? 毎日が刺激的で退屈しませんよ?」


「海賊……海賊か。おもしろそうだな! 姉上に話したい事もたくさんあるし」


「では、王位を譲ってから……」


「それはダメだ! お父ちゃまは王様でいたいんだから!」


「……」


 ココちゃんが困った顔で黙っちゃったね。


「えっと……おじいちゃま? おじいちゃまは王様じゃなくてもかっこいいよ」


「え? そうか? おじいちゃまは王様でなくてもかっこいいか?」


「うん! 日に焼けて海の男って感じだね!」


「えへへ。そうかなぁ?」


「うん! 王様の椅子より船の上の方が似合っているよ?」


「おじいちゃまもそう思うんだ! 船の上の風は陸の風とは全然違うんだ。世界がキラキラと輝いているんだ」


「……おじいちゃま? わたしとおばあ様が初めて出会ったのは、おじいちゃまの探している『世界の果て』なんだよ?」


「ええ!? 良いなぁ! おじいちゃまも連れていってくれるよね?」


「うん。もちろんだよ。でもね……この話を聞いて欲しいの。おばあ様はわたしをずっと捜してくれていたの。まだ会った事も無い、生きているかも分からないわたしを……」


「ペリドット?」


「幸せの島は魔族でさえ恐れるくらい魔素が濃くて……おばあ様は命がけでわたしを捜しに来てくれたの。ちょうどその時は、魔族が攻めてきていてね。人間のおばあ様には本当に危険だったの。それなのに、島に上陸してわたしを助けようとしてくれて……」


「そんな事があったのか……」


「おばあ様はわたしのおばあさんだって名乗らなかったの。わたしが幸せに暮らしているのが見て分かったんだね。その後、少ししてからわたしのおばあさんだったって知ってすごく嬉しかったんだよ? おばあ様は魔族がたくさんいる島に大砲を撃ち込むくらい強くてかっこよかったから……」


「魔族に大砲を!? なんて危険な事を……」


「おばあ様はそれほどわたしを想ってくれていたんだよ? おばあ様の側にいてくれるおばあちゃんやおじいちゃんも、命がけで魔族と戦おうとしてくれたの」


 本当にすごい人間達だよ。

おばあ様が大砲を撃ち込んだ時のお話は

『異世界で、人魚姫とか魔王の娘とか呼ばれていますが、わたしは魔族の家族が大好きなのでこれからも家族とプリンを食べて暮らします。~ルゥと幸せの島~』十五話、十六話『王子と人魚姫の秘密~前編後編~』に書いてあります。

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