ベリアルを見るのを禁止されたら楽しみが無くなっちゃうよね
(顔にある目は雷を出す専用なので良くは見えませんが、触手の先にある目はぺるみ様の毛穴まで良く見えていますよ?)
ゴンザレスは毛穴まで見えているのか。
それはすごいね……
なんだか恥ずかしいよ。
「うわあぁ! これがモモかぁ! ゴンザレスも食べような。ほら、あーんしてみろ?」
くぅぅ!
ベリアルがパンみたいな翼にフォークを持ってゴンザレスに食べさせようとしているね。
超絶かわいいよ!
わたしも食べさせて欲しいよ。
「あーん」
はっ!
しまった……
興奮し過ぎてわたしが『あーん』しちゃったよ。
「お前には食べさせないぞ。この変態め! オレはゴンザレスに言ったんだ」
……!?
ベリアルがわたしを変態って言った?
「ぐふふ。なんか気持ちいいね。ちょっともう一回変態って言ってみてよ」
「はぁ!? 気持ち悪っ! ゴンザレスはこういう風になったらダメだからな。ぺるみは悪い例のお手本だからな」
「悪い例のお手本!? わたしが!? そんな事無いもん!」
「……お前、自分じゃ見えないだろうけど、顔がにやけてるんだよ! かなり気持ち悪いぞ!」
「え? そんなはずは……」
「一緒にいると恥ずかしいから明日からのアカデミーでは距離を置かせてもらうからな」
「ええ!? イヤだよ! ちゃんとするから! 良い子にするから!」
「お前は口ばっかりだからダメだ!」
「うぅ……かわいいヒヨコちゃんが抱っこできないなんてイヤだよぉ」
「じゃあ、もっとまともになれよ? 分かったな?」
「……はい。ちゃんとするから……フォークに刺した桃を食べちゃお!」
「ああ! こら! それはゴンザレスのモモだぞ!」
「えへへ。甘くておいしいよ。ヒヨコちゃんが『あーん』してくれたから最高においしいよ! ぐふふ」
「この変態め! もう二度と抱っこさせてやらないからな!」
「ええ!? ごめん! ごめんなさい! もうしないからぁ!」
「お前の『もうしない』と『ちゃんとするから』は嘘だからな! 信じないぞ!」
「うぅ……だって……ヒヨコちゃんがかわい過ぎるからぁ……」
「お前……前から思ってたけど都合が悪くなると語尾を伸ばす癖があるよな」
「え? そうなの?」
「癖は自分じゃ気づきにくいからな」
「ぐふふ。ヒヨコちゃんにもかわいい癖があるよね」
「そうか? どんな癖だ?」
「えへへ。まず、歩き始める時は必ず右足からだよね。それから、お風呂に入る時は温度確認を右の翼でチャプチャプして、あとは眠くなるとくちばしをギョリギョリするよね。他にも、お菓子を食べる時は……」
「……お前」
「え? 何?」
「二度とオレを見るなよ! 見過ぎだろ! 気持ち悪いを通り越して怖いんだよ!」
「ええ!? そんなの無理だよぉ。それだけが楽しみなんだから!」
「公爵からも何か言ってくれよ!」
くっ!
公爵に助けを求めたね。
「はい。お任せください。まずは、そのフォークにモモを刺してみてください」
……?
公爵は何をさせたいのかな?
「フォークにモモを? よし。分かった。これでいいのか?」
「はい。ヒヨコ様はお上手ですね」
「そうか? で? モモを刺したらどうするんだ?」
「はい。わたしの口に近づけてください」
「ん? こうか?」
「はい。お上手ですね。モグモグ」
「……!? どうして公爵が食べたんだ?」
本当にその通りだよ。
公爵は自分も『あーん』して欲しかったんだね。