おじいちゃまはお父様にそっくりだね
「よし、ぺるみ、この部屋からばあちゃんの気配がするぞ。開けてくれ。お菓子はあるかな? えへへ」
ベリアルがわたしに抱っこされながら嬉しそうに話しているね。
「ふふ。うん。開けるよ?」
一応ノックをしないとね。
「はい? どなたかしら?」
おばあ様の優しい声だね。
「わたしだよ? ペリドットとヒヨコちゃんとゴンザレスだよ?」
「ペリドットちゃん? ふふ。待っていたのよ? ゴン……? 今、少し手が離せないの。中にどうぞ(ほら、動くんじゃないの!)」
ん?
どうかしたのかな?
「うん。忙しかった……か……な!?」
嘘でしょ!?
ドアを開けたら……おばあ様がおじいちゃまを縛り上げている!?
「うわあぁん! カサブランカちゃん赦してよぉ! レオ! 助けてぇ!」
「えっと……わたしには……無理です」
レオンハルトが困っているね。
ココちゃんもアンジェリカちゃんも公爵も着いていたんだね。
あ、マクスとリュートもいるね。
「ううぅ……ココォォ……お父ちゃまを助けてぇぇ」
「あぁ……お父様……あの……わたしには……無理です」
「うわあぁん! お父ちゃまって呼んでよぉ!」
おじいちゃま……
まだ余裕がありそうだね。
「もう! うるさいわよ! さっき逃げようとしたんだから、縛り上げるしかないでしょ!? ごめんなさいね、騒がしくて。ペリドットちゃん達はその椅子に座ってね? ほら! もっときつく縛ってあげるわ!」
「いたたたたぁ! ごめんってばあ! カサブランカちゃぁぁん!」
見ていられないね。
お父様の姿を見ている気分だよ。
「あの……おばあ様……おじいちゃまが逃げられないようにするから、縄をほどいてあげて? 皆で集まるなんて初めてだからゆっくりお話ししたいの」
「ペリドットちゃん……仕方ないわね。これからヘリオスも来るから……特別に赦してあげるわ」
おばあ様が縄をほどいてあげているね。
……手慣れているよ。
しょっちゅう、おじいちゃまを縛っているのかな?
「ううぅ……カサブランカちゃんありがとう」
おじいちゃまはダメダメだけどかわいく見えるね。
「じゃあ、おじいちゃまには今から『アレ』するからね。この部屋から出たら身体が内部から爆発するように術をかけるから、絶対にこの部屋から出ないでね?」
上位精霊にお願いしてみよう。
「ええ!? 怖っ! 冗談だよね? ペリドット? 冗談だよねぇ?」
「ん? 本当だよ? 風の力を使えば簡単なの。内臓の中に空気を大量に入れ……」
「うわあぁ! やっぱり……あの……カサブランカちゃんに縛ってもらうよ」
「え? 縛られていたらゆっくりお話できないよ?」
「おじいちゃまはまだ生きていたいんだよぉ。ココの結婚までは生きたいんだよぉ。うわあぁん!」
「おじいちゃまが逃げなければ大丈夫だよ? まさか、逃げようとしていたんじゃないよね?」
「ううぅ……ひっく……だってだってぇ……城に戻ったら仕事をさせられるしぃ……グスン」
「前から思っていたんだけど、シャムロックの叔父様が王様なんだよね? どうしておじいちゃまが仕事をさせられるの? もう王位を譲ったんでしょう?」
「それは……ひっく……だって王様のままでいたいんだもん」
「え? まさか、王位を譲らないで遊び回っていたの!?」
「だってだってぇ……王様の方がかっこいいんだもん」
これは……
おばあ様も叔父様も大変だね。
そりゃあ、縄で縛りたくもなるよね。