知らなければいけない過去?
「ぺるみ? ぼーっとしてどうしたんだ? ほら、タウンハウスに行く時間だぞ?」
ベリアルがゴンザレスを頭に乗せている!?
くぅぅ!
激かわだよ!
あれ?
胸のザワザワが消えた?
「あぁ……うん。そうだね」
「……? どうかしたのか?」
「ん? 大丈夫……」
何か思い出さないといけない事があった気がするんだけど……
なんだったかな?
「そうか? じゃあ、シャムロックのタウンハウスに行くぞ?」
そうだったね。
レースを編むのに夢中になって、いつの間にか夕方になっていたよ。
「相談役、ありがとう。また、次に来た時に教えてもらえるかな?」
「もちろんです。姫様は覚えるのが早いので教えがいがあります。次も楽しみにしていますね」
相談役は優しいね。
忙しいだろうに付き合ってもらって申し訳ないよ。
「よし。じゃあ行くぞ。皆、目を閉じてくれ」
ベリアルは頼りになるね。
(ぺるみ様、大丈夫でしたか?)
あぁ……
ゴンザレス、大丈夫だよ。
少しぼーっとしちゃっただけだから。
(あぁ……そうでしたか。あの……オレからは話していいのか分からないので、帰ったら初代の神に訊いてみてください)
え?
何を?
(……先々代のリコリス王と……その……先程の話の銀の髪に青い瞳の女の子の事です)
ゴンザレスは何か知っているの?
(オレからは話せません。上位精霊達も話しませんでしたし。オレから話すのは違うと思うのです)
上位精霊の皆もその事を知っているんだね。
そうだよね。
この世界をずっと見てきたんだから。
(……はい。見たくない事も、聞きたくない事も……)
辛い事がたくさんあったんだね。
教えてくれてありがとう。
(ですが……それを知ったら人間を嫌いになるかもしれません)
え?
どういう事?
(話すのも嫌な事ですから)
話すのも嫌な事?
(はい。ぺるみ様……この事実からは逃れる事ができません。先々代のリコリス王の最期……ルゥ様のおじい様の最期を知る時が来たのです)
ルゥ……
……うん。
何かあったんだよね。
先代の王は先々代の王から『四大国の王だけが知る事』を知らされていなかったんじゃないかな?
だとしたらルゥのおじいさんは急死したって事になる。
でも、今まで会ってきた人間達は誰も死因について話してはいなかった。
もしかしたら……
暗殺された?
でも、名君と呼ばれた先々代の王を誰が?
先代の王やリコリスの家臣達は違うはずだよ。
ジギタリス公爵は怪しいけど、暗殺犯だとしたら先代の王を操ろうとしていたはず。
でも、それは無かった。
っていう事はジギタリス公爵は暗殺はしていない。
残りの二つの公爵家は先々代の王を尊敬していたから違うし……
魔素を祓い終わったら違う問題が出てきたみたいに、ひとつ解決したらまた違う過去の出来事を知る……
そんな事の繰り返しになりそうだね。