表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

415/1484

わたしは神様を真っ二つになる危機から救ったんだよ。決して邪魔だから膝で押し込んだんじゃないんだよ

「うわあぁ! 顔だけ出てきてる! ヒヨコ様! この人真っ二つになっちゃいますよ!」


 ジャックもクラスメイト達も大騒ぎだね。

 

「(お父様、翼は? 人化しているの?)」


「(え? 任せて。バッチリ人化してるから。早く引っ張り出してよ)」


 よし。

 人化しているなら安心だね。

 じゃあ引っ張り出そう。

 

「……って、どうやって引っ張り出すの? 顔を持って引っ張り出すの?」


「え? 言われてみれば……とりあえず引っ張ってみて? 優しくね? 痛いのはイヤだから」


「うん。いくよ?」


「いててて」


「やっぱり痛いよね。空間移動の穴が小さいから……引っ張り出すのは無理だから押すよ?」


「ええ!? イヤだイヤだぁ! そっちに行きたいよぉ! 晴太郎はれたろうばっかりずるいよぉ」


「わがまま言わないの! 引っ張れないんだから押すしかないの!」


「うわあぁぁん! イヤだよぉ。そっちに行って遊びたいよぉ!」


「わがまま言わないの!」


「うわあぁぁん! 今、膝で押したよね? イヤだぁぁ! 絶対そっちに行くんだあぁぁ……」


 お父様の声がだんだん小さくなっていくよ……

 ……よし。

 第三地区に戻せたね。

 わたしは神様を真っ二つになる危機から救ったんだよ。

 決して実の父を膝で押し込んだ悪い娘じゃないんだよ……


「ぷはっ!」


 吉田のおじいちゃん!?

 近くにいたの?

 だったら手伝ってくれれば良かったのに!


「あの……ペリドット様……今の人は……」


 ジャック……

 やっぱり訊くんだね。

 

「……なんでもないよ。今見た事は忘れて……」


「え? でも……何か叫んでましたよ?」


『あれは神様だよ』なんて言えるはずがないよ。

 ……今のが実の父だなんて絶対に言えない。


「えっと……忘れて……」


「……何か事情があるんですね。分かりました。忘れます」


「ジャック……ありがとう。助かるよ」


 はぁ……

 お父様にも困ったものだよ。


「ぺるみ……なんか、ごめん」


 ベリアルが謝ってきたね。


「あぁ……こっちこそごめん」


 お父様が、騒ぎを起こしちゃって申し訳ないよ。


「お金は取れたから……市場に行って今の事は忘れよう」


「ヒヨコちゃんの言う通りだね。そうしよう」


「じゃあ、オレ達は市場に行くから、皆また明日な?」


「はい。ヒヨコ様、ペリドット様、また明日」



 はぁ……

 お父様にも困ったものだよ。

 さてと、市場に空間移動してもらったし嫌な事は忘れて市場でお菓子を食べようかな?

 おこづかいは毎朝ハデスがくれるんだけど、今日の分はもう使っちゃったからね。

 ベリアルがおごってくれるのか。

 ぴよぴよぴよたんのベリアルが……

 ポエマーのベリアルが……

 ぐふふ。

 堪らないね。

 

「お前……何をニヤついてるんだ? 気持ち悪いな……」


 はっ!

 しまった。

 見られちゃったね。


「なんでもないよ。ジャックのお店でクッキーを食べよう?」


「そうだな。オレはヒヨコクッキーを買うぞ?」


「ふふ。わたしもヒヨコちゃんクッキーがいいな」


(いいですね。オレもクッキー食べたいです)


 ゴンザレスもクッキーが好きなんだね。

 一緒に食べようね。


(はい!)


 あぁ……

 残りの二ヶ月の学生生活はのんびり穏やかに過ごせそうだね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ