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これでヒヨコちゃんの講義を見られそうだね

「はぁ!? そんな酷い事をされていたの!? 赦せないよ!」


 なんて酷い人間なの!?

 散々悪い事をさせておいてそんな事をするなんて……


「オレ達みたいな奴らはそんなもんですよ……」


 ジャックが悲しそうな顔をしているね。


「あぁ……ジャック……これからは違うよ。わたしは絶対にそんな事はしないし、働きに対しての報酬はきちんと支払うからね。とりあえず今月の賃金は……まだ月末まで日にちがあるから……うーん」


 確か、銅貨一枚が十円、銀貨一枚が千円、金貨一枚が十万円くらいの価値だったよね。

 パンは銅貨二枚くらいで買えて、平民なら一ヶ月に銀貨三枚あれば良い暮らしができるんだ。

 そういえば、金貨を見た事がある平民はほとんどいないって聞いたね。

 

「まだ働いていないのに、今賃金をもらえるんですか?」


「当然だよ。雇用主としてジャックとお父さんの生活を守らないといけないでしょ?」


「そんな話……聞いた事がないです。……本当は悪い事をさせる……なんて事は……」


「あはは! 大丈夫だよ。市場にいてくれるだけでいいんだよ? わたしが二人に会いに来るのは賃金を渡しに来る時と、お菓子がおいしく作れた時くらいだし。安心してお父さんと暮らしてね? 今まで苦労した分、これからは幸せになって欲しいな」


「ペリドット様……」


「泥棒が怖いなら賃金は数回に分けた方が良さそうだね。十日に一度銀貨を一枚で、ひと月に銀貨三枚でどうかな?」


「ええ!? そんなにいいんですか!?」

 

「もちろんだよ。お父さんとジャックでひと月に銀貨を六枚だよ?」


「はいいい!? 二人で銀貨三枚でも多いのに!? さすがにそれは多すぎます!」


「いずれ、模擬戦とかをする事になるし、服も剣も手入れが必要になるはずだよ? 体面維持費っていうのかな? 体裁を維持するのに必要な費用も含まれているんだよ。貴族の服を着たらやりすぎだけど……市場の守り神だから恥ずかしい格好はできないからね。足りない時はいつでも言ってね?」


「月に銀貨を六枚で足りない事なんてありませんっ! あぁ……泥棒が怖い……留守を狙われたら……」


「じゃあ、多すぎる分は預かっておくよ。使いたくなったら言ってくれればすぐに渡すよ?」


「いいんですか? ありがとうございます」


「いくら預かったか分からなくならないように、きちんと紙に書いておくからね。そこに、ジャックとお父さんのサインを書いて間違いがないようにしようね。お金で揉めるなんて嫌だから。ジャックとお父さんとはずっと仲良くしたいんだ。お金が貯まったら家を建ててもいいかもね。法律的には大丈夫かな?」


「家を!? ……実は先祖代々の小さな土地があって。昔、先祖が褒美として貰った土地なんです。そこに家が建てられるかもしれないのか……ペリドット様、ありがとうございます。何から何まで本当にありがとうございます。でも……暮らしが落ち着いてきたらオレ達二人で生活できるように頑張るつもりです。いつまでも甘えていたら先祖に笑われちゃいますから」


「そっか。そういう考え方、好きだよ? 二人は、頑張ったら家を建てられるっていう市井の希望になりそうだね。じゃあ、とりあえず今は銅貨二十枚置いていくね。わたしはしょっちゅう市場に出入りしているから、お金が足りなくなったらこっそり話しかけて?」


「こっそり……ですか?」


「うん。その辺の事情はお父さんに話してあるから、後で聞いてね? じゃあ、そろそろアカデミーに戻るよ。ヒヨコちゃん、お願いできるかな?」 


「任せて。じゃあ、皆、目を閉じて。眩しくなるわよ」 


 ジャックとお父さんはこれで安心だね。

 ベリアルの講義に間に合ったかな?

 どんなかわいい講義かな?

 ぐふふ。 

 想像しただけで鼻血が出そうだよ。  

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