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うさちゃんを捜したい

「ふふふ……やめろって言われてやめるくらいなら……最初から吸わないんだよ! スーハー」


 ヒヨコちゃんの姿のベリアルを掴まえて吸っていると、ハデスが天族の姿に戻って歩いてくる。


「ペルセポネ……」


 呆れちゃったのかな?

 でも、でもっ!


「ハデス! すごいの! ベリアルがいつもの百倍かわいく見えるの! スーハー……」


「そ……そうか。だが、嫌がっているようだぞ?」


 やっぱり、呆れちゃったんだ。


「え? う……でも……我慢できないし……スーハー……」


「お前……ヨダレが付くだろ! 離せ!」


 ベリアルが腕から抜け出そうとしている!?

 ダメダメ!

 まだ吸い足りないよ!


「嫌だよ! 離さないの!」


「お前にはハデスの怖い顔が見えないのか!? これは本当にまずいやつだぞ!」


「え?」


 確かに怖い顔だ……

 うぅ……

 でも、我慢できないんだよ!  

 これは本能なんだよ!

 わたしの意思では止められないの!


「分かった! オレが良い物を創ってやるよ!」


「え? ベリアル? 良い物って何っ!?」


 いつもの粘土で何か創ってくれるの!?

 もしかしてモフモフ!?

 かわいいモフモフ!?

 やったぁ!

 

「ウェアウルフ! ちょっと来てくれ!」


 前ウェアウルフ王のお兄ちゃんを呼んだね。

 お兄ちゃんはすごく器用だから。

 あぁ、楽しみだよ!


「あぁ。なんだ? ベリアル」


 雪あんねぇと手を繋いでいるね。

 今日もすごく仲良しだ。


「なんか適当にぺるみが好きそうな生き物を作ってくれ!」


「ぺるみ様が好きそうな物……かわいくてフワフワの……こんな感じか?」


 二人ともいつの間にか、ぺるみって呼んでいるね。

 もうわたしの名前はぺるみになっているんだね。

 すごい!

 話をしながら、あっという間に作ったよ!?

 

「おお! さすがウェアウルフだな! じゃあ始めるぞ!」


 ヒヨコちゃんの姿のベリアルが神力を注ぐと毛玉のハデスにそっくりなモフモフになる。


 うわあぁ!

 犬みたいなかわいい耳にフサフサのしっぽ!

 黒いキラキラな瞳にフワフワな毛並み!


 ……でも、動かないね。

 魂が無いからか……


「地上の魂を入れたら天界には入れなくなるからな。動かないから嫌だとか言うなよ?」


「うんっ!」


 抱っこすると、フワフワでかわいいね。

 でも、なんでこんなにモフモフに飢えているのかな?

 ペルセポネの頃の記憶でも、ここまでの変態じゃなかったはずだけど……


「お母様? わたしこんなに変態だったかな?」


「ふふふ。変態じゃないわよ? ただただ、かわいいわ?」


 親の欲目だね……


「これからもずっとこんなにモフモフを我慢できないのかな?」


「そうね……天界にいた頃はうさちゃんがずっと側にいてくれたから……」


「あ! うさちゃん!」


 そうだよ。

 白くてかわいい、うさちゃんがいたよね?

 確か……ペルセポネの最期の時に血を見て怖くて逃げちゃったんだ。


「うさちゃんは今はどうしているの?」


「ずっと行方不明なの。冥界にもいないみたいだし、天界も捜しているんだけど……もしかしたら宝石の姿になったまま眠っているのかもしれないわね」

 

「宝石の姿に?」


 そんな事ができるの!?


「元々寝るのが好きな子だから、ペルセポネと一緒にいる時もほとんど眠っていたでしょう?」


「……うん。膝の上でいつもウトウトしていたね。フワフワでかわいかった」


「……え? そうなのか? あいつはいつも怖い顔をして常にわたしを威嚇していたが」


 ハデス?

 そうだったかな?

 

「ふふふ。きっと嫉妬していたのよ。いつもペルセポネの一番でいたかったみたいだし」


 お母様?

 うさちゃんがハデスに嫉妬していたの?


「捜したいな……怖がらせちゃったから……」


 血を見て震えていたよね。

 かわいそうだった……


「……そうね。きっと、うさちゃんも会いたがっているはずよ?」


「え? 捜すのか……?」


 ……?

 ハデスは捜すのが嫌なのかな?

 うさちゃんと仲が悪かったっけ?

 

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