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親孝行の人間を助けてあげたい

「……? アカデミーの先生が騙されてどうして神殿が出てくるんだ?」


 確かに、爆弾を仕掛けた人間の言う通りだね。

 ちゃんと説明しないとね。

 

「あぁ……騙された先生は神殿の救世主だったの。ねぇ、このままいけばあなたは処刑されるよね?」


「……だろうな。拷問をされずに処刑されればまだ楽だが……」


「あなたって……暗殺者なの?」


「……いや、オレは下働き……って言っても奴隷みたいなもんだ」


「……ねぇ、わたしの為に動いてみない? このまま処刑されるなんて嫌じゃない? 実際爆発はしなかったし、お兄様に……王様に頼んでみるよ」


「……もう、汚れ仕事はイヤなんだ。気にいらなけりゃ殴られて閉じ込められて……でも……オレが死んだら……」


「……わたしが一番嫌いなやり方だね。すごく大切な子が同じ目に遭っていたの。しっかりやり返してあげたけどね」


 ベリアルを虐げていた天族にね。


「え? じゃあ……何をやらせるつもりなんだ?」


「露店商市場って知ってる?」


「露店商市場? 市井のか?」


「うん。あなた、どこで剣術を習ったの?」


「それは……父親が騎士だったんだ。平民出身でかなり苦労して……今は寝込んでるけどな」


「そう。苦労……貴族の騎士に虐げられていたんだね。お父さんは病気なの?」


「いや、騎士の時に怪我をして……治療できなくて……歩けなくなって……」


「だから、お金をくれる公爵家に?」


「……治療費になるほどはもらえなくて……毎日父ちゃんに食わせるだけで精一杯で……」


「家はどこ?」


「え?」


「場所を教えて? それから、あなたは今の話を全部素直に王様に話して来て? そうしたら、きっと神様があなたを助けてくれるよ」


「神様が……?」


「うん」


「神様なんて……いない……いたら父ちゃんを助けてくれたはずだ! 母ちゃんも出て行かなかったはずだ……それに……オレは悪い事を……」


「その罪をこれから償うんだよ。露店商市場の皆を守りながらね」


「……? どういう……?」


「あなたは強い。お父さんもかなり強いんだよね?」


 平民で騎士になったくらいだからね。


「父ちゃん……? 父ちゃんはもう寝たきりで……」


「神様はいるよ? 今のあなたの話に悲しんでいるはずだよ?」


「神様……」


「あなたとお父さんに、市場を守って欲しいの。最近も貴族の子に荒らされて大変だったの。もちろん貴族相手にやり合えなんて言わないよ? 例えば……お父さんと日に数回模擬戦のような事をするの。それで、見物料を貰うんだよ。元騎士の強い人間がいるのが知れ渡れば誰も嫌がらせをしなくなるでしょう? もちろん、わたしからも月々の給金を支払うよ。どうかな?」


「……今の話は矛盾だらけだ。まず、父ちゃんは動けないんだ。それに、もし……万が一動けるようになったとしてあんたに何の得がある? 市井の人間を守る? オレと父ちゃんを雇う? 全く意味が分からない」


「うーん。そうだね。まず……最初の質問からだね。わたしには治癒の力があるの。今からお父さんの所に行って怪我を治してくるよ。あとは、わたしに何の得があるかって事だけど……」


「は? 治癒の力? 聖女様は亡くなったんだ。もう治癒の力を持つ奴はいなくなったって聞いたぞ?」


「そうだね。わたしを除いては、いなくなったね」


「……は? 何を言ってるんだ?」


「リコリス王の妹。って言ったら分かるかな?」


 わたしがルゥだったって信じてもらえるかな?


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