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人魚の海域(7)

「(ベリアル……ちょっと……)」


 ん?

 吉田のおじいちゃんが寝っ転がってバタバタしながら小声でベリアルを呼んだ?

 わたし以外は、あの島に行くかを話し合っているから誰も気づいていないみたいだね。


「(じいちゃん? なんだ?)」


 おぉ!

 内緒話をするヒヨコちゃんがかわい過ぎるっ!


「(カップケーキって知ってるか?)」


「(なんだ? ケーキなのか?)」


「(前に群馬でなぁ、ぺるぺるに作ってもらったんだ。小さいカップに生地を流し込んでなぁ、焼き上がったしっとりしたスポンジにかわいく生クリームとかチョコとかを飾ってなぁ……)」


「(それは旨いのか? 甘いか?)」


 おぉ!

 ベリアルのつぶらな瞳がキラキラ輝いているっ!

 かわいいっ!


「(いろんな味が楽しめてなぁ旨いんだ。また食べたいって、ぺるぺるに頼んでみるかなぁ)」


「(本当か!? そんなに旨いのか?)」


「(でもなぁ……じいちゃんどうしてもあの島に行きてぇんだよなぁ)」


「(え? でも皆は行きたくなさそうだけど?)」


「(じいちゃん、あの島に行かねぇとぺるぺるにカップケーキを頼めねぇかも……だってじいちゃんどうしてもあの島に行きてぇんだもん)」


「(うう……カップケーキ……)」


 なるほど。

 いつもこうやってベリアルに空間移動をさせていたのか。

 吉田のおじいちゃんは初代の神様だから簡単に皆を空間移動させられるんだろうけど……

 やっぱり群馬の晴太郎はれたろうっていう事にしたいんだろうな。

 それにしても、吉田のおじいちゃんはいつも滅茶苦茶なように見えても後になるとちゃんと理由があったっていう事ばかりだよね?

 まさか今回も何か理由があってこんな事を?

 そうだ。

 そうに違いないよ。

 あの島に何かあるんだ。


「え? 違うぞ? ただ遊びに行きてぇだけだぞ?」


 またまた、そんな事を言いながらも絶対何か考えがあるんだよ。


「いや、本当に遊びに行きてぇだけだぞ? だって暇なんだもんっ!」


 ……本当に本当?


「本当に本当だ! あははは!」


「ん? じいちゃんは誰と話してるんだ?」


 しまった。

 吉田のおじいちゃんが心を聞ける事は秘密なんだ。

 しかも、周りから見たら独りで話す痛い人になっちゃっているよ。


「んん? じいちゃんはなぁ、心の中のかわいい天使ちゃんと話してるんだ。人間はなぁ心の中に天使と悪魔が住んでるんだ」


「天使と悪魔? 悪魔ってなんだ? 魔族とは違うのか?」


「うーん。人間は悪魔を悪い奴だって考えているからなぁ。でも、この世界の魔族は皆優しくて真面目だろ? だからじいちゃんは悪魔と魔族は違うと思うなぁ」


「そうか。確かに天族より魔族の方が真面目で優しいよな。浮気とか絶対しないしな!」


 ベリアルの言う通りだね。


「うう……だって……皆かわいいんだもん」


 お父様……

 これが神様か……

 群馬で本で見てきた神様とは大違いだよ。

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