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この世界の補正の力(2)

「ペルセポネ? なぜだ? 危険かもしれないぞ?」


 ハデスの言う通りだね。

 でも……


「吉田のおじいちゃんの息子さんは元々優しかったらしいの。でも、色々あって邪悪になるしかなかったの。天界でベリアルが追放されて、悪くなっちゃったみたいに、そうなるしかなかったのかもしれないね。世界の理? 違うかな? うーん。……上手く言えないけど、一度、やりたいようにやらせてみたいの。結果、わたしが暴走したら……誰かに止めてくれなんて事は言わないよ? 上位精霊の皆も見ているだけでいいの。わたしが止めるから。わたしが決めた事だからわたしがけりをつけるよ」

 

「ペルセポネ……?」


「ハデス、吉田のおじいちゃんの息子さんは……幸せに暮らしてきたわたしの心の中にいたの。ずっと、ずっとわたしの中から変わり行く世界を見てきたはずだよ。その記憶の中には吉田のおじいちゃんがいたの。後悔しながら……傷つきながら息子さんの魂を守る姿を見てきたはずだよ? だからって、息子さんの魂が簡単におじいちゃんを赦せるはずはないよ。心は……そんな簡単なものじゃないから。息子さんが生きていた時、ゆっくり……ゆっくり、この世界は息子さんを『悪』にしていったの。それがこの世界の理だから」


「ペルセポネ『この世界』は……『魔族と人間の世界』はヨシダのおじいさんが息子の為に創り出した世界だったな。確か、息子を悪だと証明する為の世界だったか?」


「世界は数千年経った今でも補正しようとしているみたいだね。この世界のあるべき姿に導こうとしているんだよ」


「補正?」


「わたしを『悪』にしたいんだよ。……そう。今も……口ではあの爆弾を仕掛けた人間を殺すなって言いながら、心の中では……じわじわとなぶり……あぁ……ゾクゾクするの。りたくて仕方ないの。その感情を受け入れろってこの世界が言っているように思えるの。……でも、今はわたしの……『ペルセポネ』の『月海』の『ルゥ』の心がそれを止めているの。それはやったらダメな事なんだよって止めているの」


「ヨシダのおじいさんの息子が……出てこようとしているのか?」


「ん……て言うよりは、ずっと一緒にいる……みたいな感じかな? でも嫌じゃないの。だって吉田のおじいちゃんの息子さんが『わたし』なんだから。簡単じゃないのは分かっているの。悪にならずにはいられない環境を作り出す『世界』から逃れる事ができないのも事実だよ? でも……未来を誘導されるのは嫌なの。吉田のおじいちゃんやお父様、ブラックドラゴンのおじいちゃんはわたしやイナンナを思って動いてくれていたの。でも、この世界の補正力は違う。ただあるべき姿にしようとしているだけなの。そこに愛は無いんだよ」


「ペルセポネ……危険だ……冥界に戻ろう。冥界ならこの世界の補正力は関係ないはずだ」


「……わたしの魂が吉田のおじいちゃんの息子さんの時点で逃げられないんだよ。それに、この世界には第三地区の皆もルゥの家族もいるの。関わらないわけにはいかないんだよ。わたし……戦いたいの。この『世界』と。戦って勝ちたいの。吉田のおじいちゃんの息子さんの魂が安心して生きられる世界……それをこれからの『理』にしたいの」

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