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上位精霊が創られた理由

(……ぺるみは……初代の神の子の……『あの子』の頃の記憶は何も無いのか?)


 ネーレウス?

 シェイドと同じ事を訊くんだね。

 皆はわたしが『吉田のおじいちゃんの息子さん』だってずっと知っていたの?


(……いや。今朝、第三地区で聞くまで気づきもしなかった。神の息子はぺるみの穏やかな心からは想像もできないほど邪悪だったのだ。ベリアルの心が抑えていた為、暴れ出す事は無かったがな)


 ……そうなんだね。

 そんなに邪悪だったんだ。

 でも、皆なら分かるはずだよ?

 わたしの心の声が聞こえている皆なら……

 

(……時々出てくる邪悪な心……か)


 うん。

 邪魔者を排除したくなるの。

 命を奪いたくてゾクゾクしちゃうの。

 これって、吉田のおじいちゃんの息子さんだった頃の気持ちなのかな?

 

(……ぺるみ、お願いだから……あの頃のようにはならないでおくれ。我々は……ぺるみを傷つけたくはないのだ。いや……ペルセポネの身体を手に入れた『初代の神の息子』に我らが勝てるはずもないか)


 ネーレウス?

 それってどういう事?

 

(……我ら精霊は初代の神の息子の暴走を止める為に創られたのだ)


 え?

 止める為……?

 それって……まさか……暴れ出したら……命を奪う為っていう事?

 全ての属性の力を使わないと勝てないくらいおじいちゃんの息子さんは強かったっていう事なのかな?


(実際、暴れ出す事は無かったがな。それに、我らが創り出されたのは初代の神がこの世界を創った時だ。あの時の初代の神は息子を愛せなかったからな。だがすぐに愛して、捨てた事を後悔して……その苦しむ姿は今でも覚えている。だからポセイドンが我が孫を捨てた事に腹が立つのだ。あいつめ! 絶対に赦さん!)


 ネーレウス……

 孫って魚族長の事だよね?


(確かに容姿は魚人族だが、心は誰よりも優しい子だ)


 そうだね。

 ……魚族長にはわたしみたいな怖い心は無いのかな?


(……誰にでも清らかな心だけがあるわけではない。醜い心も恐ろしい心も色々な感情がぶつかり合って、ひとつの生き物が出来上がるのだ。『我が孫の魚族長』も決して清らかなだけではない。だが……優しい子だ。しなくても良い苦労をあの愚かなポセイドンのせいで……)


 ネーレウスは魚族長が大好きなんだね。


(真っ直ぐに生きようとする孫をかわいく思わない祖父がいるはずがない)


 そうだね。


(この世界が創られた時から我らは『初代の神の息子』を見守ってきた。……いずれ暴れ出したら命を奪う為にな。だが……赤ん坊の頃から見てきた子の命を奪えるはずがない。我らは神の息子が真っ直ぐに生きられるようにずっと環境を整え続けたのだ。人間と魔族が仲良く暮らせるように……適度に距離を置きながらだがな……)


 それで、この世界ができたばかりの頃は人間と魔族が仲良く暮らしていたんだね。

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