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ベリアルは賢いヒヨコちゃんだったんだね

「ではでは、公女様が誘拐犯ではない事が分かりましたし。でも、毒殺されそうにはなりましたが……まぁ未遂ですので……という事で、講義を始めます!」


 先生がやる気になっているね。


(これがアカデミーですか。聞くと見るとではずいぶん違いますね。ほぉほぉ……なるほど。もっと金ピカかと思いましたよ)


 ゴンザレスも興奮しているね。

 

 ん?

 ベリアルは学長が用意した特等席フッカフカのミニソファーでゴロゴロしているね。

 ぐふふ。

 激かわだよ!

 でもこれが聖獣の姿だって思われてもいいのかな?

 うーん。

 

「ささ、ヒヨコ様、冷たいお飲み物をどうぞ。ささ、お菓子もありますよ?」


 学長……

 今は講義中なんだけど……


「では、始めます。『地方貴族の抱える問題について』ですが……まず、そうですねぇ。どなたかに……うふふ。ヒヨコ様? ヒヨコ様は『小国の抱える問題について』どのようにお考えですか?」


 おぉ……

 ベリアルにそんな難しい事を……

 答えられるのかな?

『クッキーがおいしいです』とか言い出すんじゃないかな?

 ぐふふ。

 それはそれで超絶かわいいけどね。


「サクサクサク……ん? 小国? うーん。サクサクサク……」


 おぉ!?

 何か考えているね。


「そうだなぁ。まず陸路を整備して、海路を安全に……サクサクサク」


 ……!?

 なんだか難しい事を言い始めたよ!?

 でも、しっかりお菓子は食べているね。


「それで海が安全になったら……大国に荷を運んで。そうだなぁ、露店商市場みたいに国外から来た人間専用の市場を作るのはどうだ? 例えば今月はこの国、来月はあの国。みたいにいろんな国がいろんなお菓子を売りにくるんだ! その時に、その国の良いところとか観光名所を紙に書いて貼っておけば、それを見た貴族が遊びに行くんじゃないか? 旅のお土産はお菓子がいいなぁ。サクサクサク……」


 物産展みたいな感じかな?


「んまあぁぁ! ヒヨコ様は天才ですっ! かわいいだけでなく天才なんて……あぁ……母性が溢れ出てきます……」


 ……先生。

 また溢れ出しちゃったんだね。


「これは一大事です! 早速、陛下に知らせねば! 我がアカデミーに天才現る! と」


 学長まで……

 ベリアルにすっかり骨抜きにされているね。

 スウィートちゃんにメロメロになっている公爵くらいデレデレだよ。


「では、わたしは……」


「学長……待てよ」


 お?

 ベリアルがちょっとかっこ良く見えるよ?


「はいっ! なんでしょう?」


「今行ってもジギタリス公爵の件で忙しいからな。後にした方がいいぞ?」


 え?

 本当にベリアルだよね?

 いつもの、お菓子をポリポリ食べながらぐうたらしている姿とは別人なんだけど?


「なんだよ……そんな目で見たら照れるだろ?」


 ぐっふうぅぅ!

 ベリアルが、いつものベリアルじゃない!?

 かわいいだけじゃなく知的なベリアル!?

 新たな感覚だよ!

 ニューベリアルだよっ!


 ねぇ、ゴンザレス?

 本物のベリアルだよね?

 偽物じゃないよね?


(はい。本物のベリアルですよ? と言うより……ペリドット様はベリアルにかわいい印象を強く持つ為何をしてもかわいく見えるのではありませんか? 普段からベリアルはまともで真面目ですよ?)


 え?

 そうなの?

 まぁ、確かにベリアルは真面目だけど……

 ここまで頭が良いなんて知らなかったよ。

 だっていつもは……


『今日のおやつはクレープとパフェどっちがいい?』

『ん? えーと……んーと……両方!』


 って感じだし。

 質問の答えをちゃんと返している事に驚きだよ。

 

(ベリアルは、たくさんの国のお菓子を食べたいと言っているだけですが……)


 ぐふふ。

 ベリアルは天才だったんだね。

 くぅぅ!

 

(あ……いや、聞いていますか? ただ、お菓子を……)


 あぁ!

 ベリアル最高っ!


(あのぉ……聞いていますか?)


 つむじまで賢く見えてきたよ。

 堪らないね、こりゃ。


(……まぁ……嬉しそうでなによりです……はい)


 うん!

 えへへ。

 ベリアルの新たな顔が見られて幸せだよ。

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