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こんな事を話してごめんなさい

「……いいんだよ? ペリドット。話して?」


 お兄様が悲しそうにわたしを見つめているね。


「……公爵は悪くなかったよ? 確かに毒は良くないよ? でも……公爵は……ルゥの父親を……愛してくれていたの。王様としてじゃなくて……一人の男の子として……だから……いなくならないで欲しいの……いっぱい聞きたいよ。父親を王として見ていた人間じゃなく……親戚の優しいおじさんとして大切に思ってくれていた公爵から……父親の話を聞きたいよ」


「……そうだね」


「スウィートちゃんは……わがままで、クラスメイトを殴ったりして……毒まで盛って……処刑されるくらいの罪だよ? でも……酷い事をしたけど……生きていて欲しいよ。変わろうとしているスウィートちゃんを……助けてあげたいよ。クラスの皆には悪いけど……殴られて酷い事を言われて絶対赦せないと思うけど……だけど……処刑は嫌だよ……うぅ……嫌だよぉ……」


 涙が止まらないわたしの髪を撫でながらお兄様が優しく微笑んでいる……

 人間の事には口を出さないって決めていたのに。

 わたしは人間じゃないんだから……

 

「ごめんなさい……勝手な事を言ってごめんなさい……お兄様……」


「……嬉しいよ。ペリドット……複雑な立場だから……除け者にされていると思っているんじゃないかって心配していたんだ」


「……お兄様」


 確かに、ルゥの時は人間にも魔族にもなりきれなくて辛かったけど……

 お兄様はそれを分かってくれていたんだね。


「ペリドット……嬉しいよ。やっぱりペリドットは世界一素敵な妹だよ。ペリドットが、いなければ公爵を誤解したまま喪うところだった。公爵と公女には罰を与えるけど……それは処刑ではないよ? さっき言っていたね。公爵はリコリスを愛しているから国外にリコリスの素晴らしさを知らせる仕事をしたらどうかって」


「え? うん。言った……けど……」


「数ヶ月邸宅で反省した後、世界にリコリスの素晴らしさを知らせる仕事をしてもらうのはどうかな? もちろん公女も一緒にね? 公女は少し外に出て世間の厳しさを知った方が良いからね。甘やかすだけの狭い公爵家を出て広い世界を見るべきだよ」


「じゃあ……処刑は?」


「処刑されるべきなのは……ジギタリス公爵だよ。はぁ……ペリドットにも感謝しているけど……宰相……ありがとう。ずっと言っていたな。公爵は処刑されないから、公爵の領地の心配はいらないと」


「はい。わたしは人を見る目があるのです」


 おぉ……

 宰相がいつの間にかベリアルを抱っこしてスーハーしているね。

 ベリアルはキャラメルで餌付けされているよ。


「我が領地の心配……? それは一体?」


 やっぱり公爵はスウィートちゃんが領地をわたしにくれた事を話していなかったんだね。


「ほら、これだ」


 お兄様がスウィートちゃんの署名の入った領地の譲渡書を公爵に見せているね。

 

「……これは! スウィートちゃん! ダメでしゅよ! こんな『おいた』をしたら! めっ!」


 ……!?

 公爵!?

 今……

 え?

 聞き間違いじゃないよね?

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